第10章 波乱
「お陰でぐっすりさ、ランはどうだ?」
「俺も眠った。何か、もやもやしていた部分も殆ど解決出来そうな思いがしたよ。でも、まだまだ入り口に立ったばかりだもんな、ここで少しを情報収集したからと言って浮かれてはいけないと思うし」
「その通りだ。俺たちはこの4年間、ずっとその下地を作って来た。それが今回の会議で一気に出たと言う形だ。まさかの予想を遥かに飛び越えていたがな、ふふ」
「そうだよなあ・・驚く事ばっかりだった。でも、神野元老のやっぱり人を見剥く能力はとても優れていると思うんだよなあ」
「まあ・・失礼な言葉ではあるが、俺は確か、神野元老と同じ遺伝子だとは聞いた事がある。その点に共通点があると言えば、俺が自己自賛する見たいで比較出来はしないけどな、ははは」
「笑う事じゃねえよ、シンは特別だぜ、誰もが認める。しかし、人を見抜く眼は真実を見抜く眼にもなるのさ。そう言う誤情報に振り回されて来たからな、俺達は」
「全くだ・・しかし、何も分からなかった4年前からやっとこの位置まで来た。MRが地球周回をしているとは言え、南半球は未知数だ。以前分からない事も多いし、アマゾンの一部では、森林が復活しているようだと報告も入っている。あの場では言わなかったけどな。だから、完全に地球がやられちまった訳じゃねえんだ」
「まあ、その実は、南半球には殆ど先進国はない。O国も、とっくの昔にI国にやられちまったからな、それに殆ど陸地の半分は砂漠だ。そう見るべきものも無かったのかもな」
「さてね・・それはどうかなとは思うが・・まだまだ今の話じゃない。じゃあ、ラン用事が無いなら帰れよ、お前も」
「おっとっと・・まあ、雑談する気も余り無かった。これ・・一つ置いて行くよ。それを伝えたかっただけだからな」
そう言って、シンは1枚のメモリカードを渡された。そのカードは日本製のものであった。しかし、すぐ見る気も無く、自分のテーブルの引き出しにしまったまま、少し先を見つめるように、ぼおっとしているのであった。
そうする中で、いつも行っているように自然にアマンが入室して来た。機敏な彼女は、
「あ・・お邪魔でしたでしょうか」
「あ・・いや、申し訳ない」
シンはすぐ我に戻った。
「お疲れでしたら、自分の研究室に戻りますが?」
重ねてアマンは言うが、シンは首を振り、
「いえ、大丈夫っす。ちょっと考え事をしていたので」
「先ほど・・と言うか、朝ラン班長が私の研究室に来られていましたので、昨夜はかなりの方が本部に宿泊されていたようです」
「そうなんだ・・」
ぐっすり眠っていた自分には、そんな情報は今知る所だが、




