第10章 波乱
「と言う形で、調査した時系列を入れている中で、太陽フレアと同時に地球規模の大異変が起こった事は、ほぼ確実に近い確率の検証結果であるし、当然太陽系惑星間にも太陽に近い順に大打撃を受けた事には、間違い無い所です。現に水星、金星にはその基地が皆無であると現状のMR探索では発見に至っていない。次に地球、火星、木星、土星・・後は省きますが、大きな影響は否定できません。その中で、月と言うのは当然大きな影響を受けた筈ですが、月の光が届かぬ筈の基地がこうも壊れているのは、他の要因だと考える訳です。先に発表のあったレーザー砲は、確実に火星に向いておりました。また、アリゾナで探査した結果として、このスーパープルーム型噴火については、逆に考えれば、そのレーザー砲が自国に向いたとも思える点です」
「ええっつ!」
驚く発現だった。
「副首班、もう皆が驚くような発表をしているんす。ここで披露しても構わんすよね?本来の目的を」
「ああ・・そこまでもう展開しちまったらさ、もはや俺が否やを言えない暴露までやってくれた訳だから、しょうが無いよ。ただし、ここで皆さんに言っておく。俺達はどのミッションにおいても、確実な実証に基づいてやって来た訳では無い。故に、これだ!と思っていても、二転三転したり間違った事も多々あった。本来会議とは首班が主体にして来た主旨は、全員で考えようと言う事だ。これだけ素晴らしい人材が集まっているんだ。それも、幸か不幸かと言うならば、もはや現地球上、いや太陽系全ての残存人類が居たとしても、これ以上の者達は居ないと断言する。今日のアマン主査の話を聞きながら思った。これは、もしかしたらとんでも無い俺達の僥倖を示唆しているんでは無いかとな。だから、ここはエイジに俺達の今回の探査目的も含めて披露すべき時が来たと思う。どうぞ・・エイジ副班長」
「は・・はい、つまり、嫌悪されると思うんですが、和良司令官の開発した無線光ケーブルこそは、地球網羅及びこの太陽系全ての惑星・衛星に至るものであり、確かに特殊班の壁は突破出来なかったにせよ、全ての国々の情報を得ていた。A国がA国本部を攻撃する?そんな有り得ない馬鹿げた事が起きる筈も無いと思うでしょう。だが、そこにそれは有り得ないと思う所に盲点がある。その背景を探るべき、アリゾナ州のソノラ砂漠を探索したのは、スーパープルームが本当にここで起こったのかどうか・・大地を皆さんもご存じのように日本で開発した光ソードだが、この技術が入った時期と、メモリカードの取得は同じ頃だ。つまり、何等かの手段でA国から入手した。既に同盟国でも何でもないA国、忌まわしい原爆を落としたこの国に、本当に日本政府は心を許していたのか?それは無かったと思いたい。経済で繋がるその同盟は、結局力の支配でしかない。そのバランスが崩れ、もうそんな時代で無くなった時代には、A国が再び覇権を目指すレーザービーム、レーザー砲の開発を持って、敵国であるT国を照準にしたのは、当然の戦略だ。だが、それを放てば、まだ隠し持っていた核爆弾が地球上にさく裂する。だからこそ、その恐らく太陽フレアの兆候は出ていたのだろう。タイミングを持ち、他国を圧倒する磁力線防御の月表面は何とか耐え切ったが、地中に埋められたレーザー銃の照準を、ソノラ砂漠にあるA国戦略本部及び中央管理システムの中枢に向きを変え撃ち込んだ。それこそ誰あろう、和良司令官しか存在しない。何故その亀裂が通常岩脈に沿って行われるのに、それと垂直方向に200キロに渡って亀裂が走っていたのか、それこそ、地球の自転速度に比例する。凡そ6秒から7秒の間照射されたのだ。その証左にスーパープルーム現象は、むしろハワイ島を中心とする以前より活発な付近で起きたし、日本海溝付近でも起きている」
「なんと・・・」
全員が絶句した。




