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シンカラス  作者: 白木克之
126/1722

組織

 シンが言うと、エライ班長が、


「その通りだ。上とは、人命を軽視するなと何度も怒鳴りあった。しかし、この前シリマツ君も上位下達の言葉を吐いたが、我々もその通り・・いや、もっと厳しい言葉で命令を受けた。実際、本当にこのような危険に直面する我々の事を、分かっているのかと言いたい訳だ。火薬に関しても、重要性を訴えた・・だが、その事に関しては、我々に少し情報があった。君達には伝達していなかったが、ライケンだけでなく、旧時代の銃を今製造しているんだ。割と構造的には簡単で、資材的にも手に入るし、間に合うからね。ただし、絶対数的に見ても弾丸となる鉛やアンチモンの量が足りない。つまり供給されない限り、すぐそんな在庫が使えば底をつくと言う事だ」

「そう・・なんですか」


 少しシンのトーンも落ちた。確かに同じ実動の一線でミッションをするエライ班長、シリマツ官吏も危険な場面に臨場する立場は、一緒だった。彼らに愚痴を言っても仕方が無いとチーム全員はこの時思った。


「悔しいがね・・我々人間の力なんて所詮そんなものなのだ。文明の力を借りて、さも自分達が地球上で君臨していたように勘違いしていた裸の王様なんだよ。こんな古話を読んだ事がある者は、理解してくれ」


 数人がそれを知っていた。そんなDVD等はすぐ見る事が出来るだろうから。

 こうして、第一日目の網設置は命辛々(いのちからがら)だが、終了した。彼らは戻らず、山切りの木上に設置した監視小屋に3人ずつ分かれて、ここで朝まで休息を取る。野外での就寝は全員が経験していた。もっと過酷な場所で、樹上で過ごした者も多い。その点ではしっかりとした監視小屋は、3人をゆったりとさせるスペースと頑丈さもあった。

 シンは、先ほどの剣幕のケンと、寡黙なカンジと一緒だった。


「ケン・・お前の一撃が効いていたぞ、すげえなお前」

「何を言っている、シンの心臓一撃が無かったら、猪は起き上がって来たぞ。正確に頭骨を砕いた訳じゃないからな、ライケンは」

「それでもあの硬い頭骨を、一撃で割っていた。気絶させられる程の衝撃はあったし、他の猪に尻込みをさせたからさ、ふふふ」

「お前ら・すげえわ・・俺ならどうしたかな」


 カンジが言う。


「ははっ・・お前なら、カーバイド爆弾だろ・・って、おいっ!」


 シンが突如大きな声を上げた。


「な・・何だよ、急に」


 ケンとカンジがびっくりする。


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