第10章 波乱
「だって、首班達は八面六臂の活躍を休む事無く繰り広げていてさ、実際俺達が、今すぐこんな事やろうっと言えrタイミングでも無いじゃん。リンが提案した事をお前はすげえ褒めて、拍手していてさ、それならばと思ったんだよ。今発表すべきだってな」
「そうかあ、確かにそうだった。今もそうだと思うものの、俺達は前ばっかり見ていて、何がとにかくこうなっている事に集中していたような気がする。それは、やっぱり一直線なんだよな、今回の会議では今まで思いもしなかったものが一杯出て来た」
「まあ・・そう言う会議も無かったし、組織そのものがまだまだ固まっても居なかったからな、それに、やっぱり首班なんだよ。旗振り役はさ。その存在によって動けるって言う部分が大きい」
アマンは何も言わず、大きく頷くのみだった。この人達は本当に凄いなと正直思っていた所だった。考えるスケールが、とにかくリンも含め大きいのだ。
こうして2日目午後の会議になった。カイからである。カイは実働班を離れて殆ど組織内の研究室に入っていたから、こちらも表に全く出て来ない人物になっていた。カイは大葉の事を最初に言い出した、植物学の第一人者である。細身で華奢に見えるものの、精神的には強直であり、きびきび動ける身体能力を持っている。彼もやはり今すべき事が一杯あったので、組織内に戻っていたのである。
「では、私の発表を行います。今までも幹部会への出席も殆ど無く、実働班で首班達と活動した以外はずっとその後は組織内におりました。故に、色んな提案や報告のある中で、私がやって来た研究についての報告になります。私は多分、皆様もご存じ無い分野になるでしょうが、植物学と共に、遺伝子学、バイオテクノロジー分野・・つまり品種改良も含めて、この組織外にあります山切りの木、大葉のルーツ等を主体に調べて来た事と、擬ガジュマルの木、その木に共生する形のヤドリギである果実の事を中心にパネルをご覧ください」
それは、やはりカイが優れた植物学者である事の証左だった。実に詳しく山切りの木の成長から遺伝子の事、組成に始まり徹底した分析と開発された当時の資料も併せて、何故旧ドーム外に植えられたのか、樹齢等詳しく調べられていた。大葉、擬ガジュマルの木も日本の南西諸島に自生していた事から、塩分に強い品種であり、栄養価たっぷりの果実をつけるやどり木の存在も非常に興味深いものだった。一通り説明をすると、カイは、
「さて・・学術会議のようになり、午前中の素晴らしい提案の数々を聞いて参りました私も、大葉の大陸への移植も含めて提案くださったリン班長に敬意を示しますと共に、こう言う提案をしたいと思います。次のパネルをご覧ください」
カイがパネルを開けると、何だ?これは・・と言う植物が画面に現れた。




