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シンカラス  作者: 白木克之
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第10章 波乱

「と・・笑えたからこそ、今のお前がいる。しかし、神野元老が主導権を持ち、実働の『じ』も知らない黒服達の、夢想に近いやり方を粛清し、改めてから、やっと本格的な適性を持つメンバーに構成された。初めてそれが本来の実働班なんだよな、第14班が」

「ふ・・全く何の情報も貰えず、自分達の感性だけでエライ首班、シリマツ官吏だって確かに和良司令官の複製人間だったにせよ、本来の目的は分からなかっただろう。ただ、神野元老が何をしようと言うのかの推移を監視する為に俺は加わっただけだ。それまでは少なくても俺達の上司であり、邪魔をしたりした訳では無いからな」

「ああ・・皆が手足だった。そうあるべき駒だと思っていたからな、任務を遂行する。そこには、自己の心と言うものは必要無かったんだ」


 ダンは遠くを見るような眼になった。


「なあ、副首班と呼ばず、ダンと呼ぶ。お前は変わった・・俺も変わったと言われるが、目標をやっぱり俺達は自分で掲げなきゃいけないんだって思ったんだ。自分達はロボットじゃねえんだからな、それに改めて言うが、駒でも無い。そこで自分達で考え、行動する原理と言うのかな、自立の意思や心が必要だと思うんだ。それはこの数百年の中で、人類が失って来たものだと思う」

「シンと俺も呼ぶ。その通りだ・・俺も、それが人類としての失ったものじゃないかなとずっと考えて来た。電磁パルス爆裂後・・そしてそれ以前に起こった地球規模・・いや太陽系全てに起こった大規模な磁気嵐・・全てが、人間が培って来た文明など嘲笑うように破壊したんだ。それが明らかになりつつも、その中で人類はまだ生き延びている・・俺達もそうだけど、その後の世界でもまだ自分達だけが征服しようとか、独占しようとか思うんだなって・・これ悲しい事だよなあ」

「まさに!正にそうなんだよ、ダン。俺は、そんな歴史をこの先人間が生き延び、再び文明を復興させるのなら、もう要らないよ。残った動物達にバトンタッチをしてやろうとさえ思うんだ」

「シン・・俺もだ」


 ここでシンとダンは、互いに眼を潤ませながら、互いの心を全てさらけ出したのであった。どちらかと言えば、ダンは殆ど自分を殺し、感情を見せないクールな男だった。それは、自分の生きてきた任務そのものが、対立する幹部を暗殺する密命も帯びるものだった事もあり、そこに一切の感情など不要。或る意味シン達も死すのも厭わないと、そう言う教育を受けて来たからだ。それだけ実働班は、或る意味待遇的には最高レベルのものであったが、過酷な任務なのであった。それが当然と言われる教育も受けて来たのだ。その点で言えば、コウタやケンシンは違う。メイ・リー博士も同様だ。任務を明らかにはしていないものの、アマンやカムイも秘密メンバーなのである。しかしその溝は、シンがもう埋めた。そのシンの持つ不思議な魅力が、今動いているこの幹部会議の面々に一本の芯として通っているのだ。ダンが少し第14班と離れて、シン達を見る事も必要な時間だったのかも知れない。その見事な差配や考えが浸透していると、今日新たに確信したのである。シンとダンはこれまでも色んな話をして来たが、正に、今・・兄弟のような関係になったのだ。

 2人は、同じ部屋で寝た。色んな事を話し合ったのだった。

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