第10章 波乱
そして、ランの番になった。ランは勿論月面探査にての収穫物を披露する為に意気揚々と準備をしていたが、ここまでの経緯と、コウタにレーザービームの事を振られていて、急遽パネルの説明を変更したのであった。それも咄嗟に出来る事。またここまでの八面六臂のアバター操作による数々の戦利品と彼は呼ぶが、丁寧に月面にA国人の遺体を埋葬しても居るし、人間の尊厳に対する扱いを決して粗末にはして来なかった。そう言う部分に置いて、シンとも親友の間柄でもあるし、互いにきつい事も言い合える友人だ。気心も知れているので、離れて行動していても一瞬で心が通じ合うのである。勿論拾得物のリストの中で、大きいのは産業ロボット、端末AI、膨大な数のメモリカードであった。この戦利品はA国の科学力を知る事と、今後これらの技術を、自分達がオリジナル改良出来るだろうと言う事だ。むしろ、ここを力説するのかと思えば、あっさりと説明だけした後、質問を受けつけた。手が挙がったのは、同じゲーマーのカムイであった。
「ラン班長、そのカードはA国製のゲームにも使用されていた訳っすよね?」
「ああ・・同じだ」
「して、容量はどの位っすか?」
「色々あるが、一番容量が少ないので、今俺達が使用しているメモリチップの約300倍。でかいので、5000倍ある」
「ひえ・・それは凄い」
「だよな、それは凄いよ、で?何が言いたいのかい?カムイ副班長はさ」
ランが逆質問をする。
「その容量っすけど、記憶されている内容は取り出し可能っすか?」
「プロセッサ内に収まればセキィリティコードが入っているが、これは上書きしたり、メモ用にしたりするので、可能だと思う。勿論全部検証している訳では無いものの、大半は真っ新だ。何も入っていないカードが数千万枚もあるからね」
「す・・数千枚?ひえ・・」
それには全員が驚くが全て眼についたものは回収してきているようだ。これはとんでもなくランが、多くの戦利品と形容する中でも素晴らしいものの一つのようだ。データベースの方は、もうコピーが試作用であるものの稼働しているようなので、多くの質問は出なかった。で、ランがその質問を強引に切り、
「さて、この会議でまだ発表するには情報も足りないし、どうしたものかと思っていたレーザー砲、レーザービームだが、日本にある光ソードや掘削機とは桁違いなんだ。つまり、兵器、不器用に開発されていたと見える。勿論、これを照射する実験も出来ないので、今カムイ副班長から質問のあった、メモリカードを一部分析した。資料は勿論これだけでは無いだろうし、これで納得していたら、恐ろしい事になると思う」
「おっと、恐ろしいと思える事をまず聞かせろ」
ダンが質問をした。




