第10章 波乱
「そこで、今回の発表を行います。次の画面をご覧ください」
ケンシンが示したのは、巨大なクレーンのようなアームであった。
「これは、深海底に廃棄された核廃棄物、核燃料を回収するアームです。今まではMRが探知すると、泡状にそれを包み、宇宙空間にそのまの状態で廃棄しておりました。ですが、これは恐らく数千万個以上の廃棄物が深海底にある模様であり、幾ら多くの資源を抱えていても、回収用MRは200機です。それも核廃棄物と共に宇宙空間に廃棄しておりますので、毎日200個以上を廃棄しても月にやっと6000個。年間72000個です。そのペースでも良いと言われるならば、今のままですが、中にはとても回収出来そうに無い。大型のミサイルまで含まれます。恐らくT国、R国、K国が廃棄したものでしょうが、これらを回収し、大型のBOXに集め、一気に宇宙空間に廃棄出来ないかと、太陽系外の恒星に向けてやろうと計画しました。既に重量その他、地球上では様々な風、引力などの抵抗もありますから、思うよりは引力圏外まで出る時間が掛かるとは思いますので、ここで提案致します」
「提案と申しますと?それはこの会での承認と言う事ですか?部長」
シンが質問をした。
「はい。このような一歩間違えば、危険この上無い作業ですから、認可が必要と思いまして」
確かに言う通りだ。筋がきちんと通っている話である。シンはにこりとしながら、
「皆どうかな?この案件を承認するか?」
「異議なし!」
このケンシンが提案する事案だ。それだけの裏付けになる根拠もあっての事だ。それが信頼すると言う確証を全員の会議で得られれば、もう地球上から危険な武器は排除すべきなのだ。どれだけの時間を費やしてでもだ。この環境汚染を招いた人類の悪行を、生き残って者達で何とかしたいと言う思いにかられるのであった。見事にこの会を締めてくれたケンシンに感謝しながら、シンが代表するように、こう言った。




