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シンカラス  作者: 白木克之
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組織

 シンも即座に答える。実際無いのだから、そう答えるしか無い。しかし、ランは精力的に情報を集めているようだ。性格的なもの、また彼のスキルからしてそうなのだが、どこかでチェックが入りはしないかと少し心配になって来た。あんまり動き回り過ぎても、幾らオープンな傾向になっているものの、このように上がころころ変わるような現状では、よほど前線で動く者達がしっかりしていないと、今度こそ、完全に命を落としてしまうだろう。幸か不幸か、今までの無謀な野外ミッションにおいて命を失った者が居ないと言う事だが、それこそ疑えばキリが無い。誰もその元メンバーにあれから会った事が無いからだ。このように、未だにシン達は必要な情報を自由に得られる立場では無いと言う事だ。重ねて言うが、全てを知る必要は無い。知ってどうなるものでも無い情報もあるし、情報過多になって見動きを出来なくする必要も無いのだ。シン達にとって、今自分達が必要な実動をする為に、その目的や使命感で動く事を前提にものを言っているのだろうと、シンも解釈しているのだった。恐らくランには邪な考えなどはここまで付き合って来た仲では無いと思われる。又シンが嘘を伝達した事も無かった。だから互いに付き合えるのだ。

 さて、


「さて、鹿狩りか・・でも、それなら監視小屋は役に立つよな?」


 少し皮肉気味で、リンが言う。ケンの糸は多種多様な用途に使われる。それには称賛したいが、鹿狩り?とは、思いもせぬミッションだった。まるで実働班と言うのは、何でもありの用度係ようどがかりではないかと思っている。そう言う言葉は、歴史で習った。この時代は先進科学の時代から逆行した玉石混交の未来世界なのである。それも人類滅亡か?と言う危機的状況の。そして我が世の春を謳歌するように、オオコウモリ他野生動物が大繁殖しているのだ。豊富な植物や、皮肉な事に人類が街を作り、ふんだんに電灯の光で昼夜を問わず闊歩していた未来がである。そして、その100年間の中で、台風や地震、人類がドームに集めた出来るだけの資材や食糧で、埋めたその文明の象徴は、完全に廃墟と化した。大葉の事でも分かるが、生体武器と同様に、バイオテクノロジーを利用した植物にこれも席巻され、完全にコンクリートの街も破壊された。破壊が進むとあっと言う間だった。それは、オオコウモリの糞でも分かるように急激にそれを加速させたのだ。もはや原始の森と言っても不思議では無かった。朽ちなかったのは、特殊素材で作られたドームと、電磁パルスをシャットアウトする構造物によってだった。たった5万人・・その時地球上では100億人近い人類が住んでいたと言う。勿論、このドームと同じように他にも7か所の建造物があると言うが、それも確かめる手段は無かった。まず、制空権はオオコウモリによって席巻されているし、そんな飛行機などが残っている事も無かった。電気信号が使えないのだから、ライト兄弟がその昔飛んだと言う飛行機の原理を応用するしかないのだ。しかし、それもアウトだろう。オオコウモリの完全に餌食になる。陸路も同じ事だった。自動車が使えない以上、油性の燃料を使った自動車では道路も無い。ゴムも既に劣化し、このドーム外では使えなかった。かろうじて石灰岩使用のゴム製品がどうにか開発出来るかどうかの話になって来たが、それを動かす動力は、ドームが太陽光で創る電力と、油を燃焼し作る電力だけだった。良くそんな世界で100年も生きて来たものだ・・今更ながら驚く事ばかりだが、彼らにそんな自覚はなった。自覚があるのは、前時代を知る、2世の幹部連中だけだった。


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