第10章 波乱
「有り得る話ではあるが、だが違う。このA国が月に進出した当時は、R国に大きく宇宙技術は負けていた。しかし、あらゆる事をすっ飛ばし一気に月まで到達したんだ」
「あのなあ・・共産圏の上がやれと言ったら、国費で迅速に決定する国と違って、民主主義国家は、あらゆる手順が必要だ、承認がなきゃ実行出来ない。既にその科学力を持っていたとしても、その手順により遅れただけだとは思わないのか?その昔SFとか、いかにもと言うでっちあげの架空話で月に異星人の基地があるとか、UFOが飛来したとか、殆どは電子、電磁場の世界だったじゃねえか、或いは今のMSI飛機を見たら、きっと思うだろう、あ、UFOだってね、当時の時代の人間だったらさあ」
「うふふ・・あ、御免なさい。ショウの前回の話を思い出して笑ったんじゃないけど、シンの例えが面白かったから」
アマンは首班と呼ばず、シンと言った?ショウは怒るのも忘れてぽかんとした。今の雰囲気を持続したかったのだろう、気遣いである、これが彼女だ。冷静に答えているのはそのシンだ。だが、そのショウの言いたい事は、しっかり言わせているようにも思えた。
「まあ、その辺の話は近世代には、否定もされている。しかし、居たとしてショウ、お前の言う話には理論的な確実と言えるようなうっ立てがない。ほぼここがこうなれば、こうだろうと言うパネルを組み立てているだけ。だがな、方向性は俺もいっつも考えているが、一杯あるんだ。事実、月の基地は破壊されていると誰もが思った。しかし、基地の者は全員息絶えていたが、その体は100年も経たようなものでは無かった。つまり、月には何等かの防御網があった証左だ。建物もかろうじて残っていたからT国製より頑丈だったんじゃ無いかな」
「まあ・・その辺は置いといて・・」
ショウが反論しようとすると、シンは苦笑いしながら、
「こら、置いとくな。つまりさ、お前がそれを第3の人種とか異星人だと言うのならば、その辺の確実な証左が必要だろう?幾らパズルを埋めても、その辺の部分が脆弱だから突っ込まれるんだよ、ショウ」
「うん・・そこは指摘されればそうなる。でもアマンにも聞くけど、異星人やUFOは否定する立場かい?」
「いいえ・・否定はしていないわ。確かに無数の写真や画像は残されている。ただ、殆どの場合、不鮮明であり不確実であり、科学的にその分析を成されたものでは無かった。そして、軍事開発の下で実に様々な実験は行われていた。先にシンが言ったように、宇宙技術と言うのは、トップが決めたらそのまま実行されるような共産圏の国で無い以上は、その実行は遅れる部分もあるし、或いは豊かな資金力で優秀な学者を抱えて開発できる能力もある。今のMSI飛機が、近世代にケンシンさんが開発・発表されていたら、それこそ、和良司令官だって腰を抜かすわね。地下通信路網にも確かに高速移動できる電動車がAI制御で走っていた。でも、そんなものを遥かに上回る実用専門の開発だから徹底して無駄なものは一切排除しているものね」
「ああ・・その部分は全く同感だよ」




