第10章 波乱
シン達は出発していた。とうとうM国中枢部の存在が明らかになろうとしていた、これはマコト、ケン、リン達のめげない執念の探索がもたらしたものだった。そして編成部隊は、シン、コウタ、キョウ、マコト、ラン、ケン、リンの6名だった。錚々たるメンバー達は、あらゆる想定の中で、傭兵犬と育った、『銀、頼、楊』の3匹と、リンが傭兵に育てた戦闘オオコウモリ軍60頭も上空に舞っている。この一群は、左舷の群れであった。T国に棲息する本来は大人しい性格のオオコウモリを、傭兵にリンが育て上げたのだ。また遠距離を飛来出来る翼も長く、体力も十分に備えていた。ここまでやっていると言う事は、このM国中枢部にて何が起きるか分からない部分があるからだ。
アマンは本部に残り、画面をこの日はエイジと共に同じ部屋で見ていた。一時的にダン率いる第20班が、日本に戻って来ていたのである。
「もう副首班とショウ班長が居ないけど、フルメンバーに近いわね、主任」
「そうだなあ・・何かでも急速にデータベースもこの探索に間に合わせるように製作出来たし、部長もバックアップ体制だ。ショウ班長も、こちらでアバターの地下湖待機になっているそうだからね」
「でも、ラン班長のあの言葉には驚いたわ、データベースを製作しているのに集中しているかと思っていたら、私達の今までのデータ全てが、一枚のカードに収納出来たと言うんだから」
「はは・・あのカードは、カムイ班長補佐も知っているけど、A国製のゲーム用らしいよ。相当旧時代のものらしい」
「それが、旧新代まで続いて使われていたって事ね?」
「ああ・・とても頑丈と言うか、容量も大きいし、全ては合理的に考える国だから、この技術が仮に他国に渡ったとしても、本機のCPUとかハッキングは出来ないと考えていたようだ。と、言うのも本機には何重にも上るセキィリティコードがあるし、これは記憶媒体の一部に過ぎないのだから、このデータを盗まれたとしても大きな影響も無しと考えたのだろう。そして、突破出来る者も居ないと・・」
「あら・・でも、実際に出来た訳でしょう?カムイもラン班長も」
「はは・・だから互いのヲタク同士なんだって・・」
「まあ!うふふふふ」
二人は笑った。天才的、時代的に言えばハッカーになり得る存在の二人がこの日本に産まれていたと言う事だ。詳しくはそれ以上聞かない事にした。実際にそれが組み上がったこのM国探索の地下中枢及び、通信路のMAP、そしてアマン達の研究に役立っているし、この奇抜な発想は、こう言われた。




