第9章 新たなる境地に
「ああ・・そう言う参加の意味もある」
ランは大きく頷き、
「基本的システムの構築は分かった。多少のCPUの組み方・部品は違うものの、交換できる部品もあるし、もう少し演算処理も、不要なものを取り除けば、一台組み上げるよ。ショウも手伝ってくれるんだな?首班」
「ああ・・勿論さ。総力が必要なら、その時は動員するさ」
「じゃあ、俺はA国の資源探索の中に、そのCPUに使用している鉱物があるかどうかを含めて、違うアプローチでも良いな?月の資源についても、出来るだけ情報をオープンにしてくれ。勿論優先するのは、俺の所にだ」
「了解」
ランはダンにそう言うと、
「じゃあ、もう動き始めた。決定だ」
シンは、ここで第2の決定を下した。シンの脳裏にあるひょっとしたらと言う思いが段々と繋がっているように感じ始めていたのだった、この時・・しかし、パンドラの箱を開けるかも知れないと言う思いも少なからずあった。そして、今は北半球だけに集中している探索にしても、やはりとにかく彼らは人が居ないのである。無人探索機を増産し、大きな容量を持つランが取得したデータベースを使用する必然性が、出て来たのだ。そして影が薄くなっているマコトが・・この日・・
「久しぶりに首班の所に顔を出せたよ」
彼がケンとリンと組んで色々やっている事はこれまでも伝えて来たが、アバターを使う、バーチャル探索では無く、自分が現地に足を運ぶやり方で、相棒『頼』は、とても頼もしく育っている。勿論シンの相棒『銀』も犬軍団のリーダー犬だが、どうやら九州全域の野犬集団は、支配下に治めたようだ。野犬は大きく6つの群れに大別され、大葉の移植と山切りの木の苗も非常に強く、挿し木で育つ貴重な植物だ。その森林域は急速に日本全土に広がるが、やはり気候的には南日本が適しているようだし、アルカリ土壌がマッチングしている事も分かった。この木自体に、栄養分と言う形は無いものの、森林として今も降り注ぐ宇宙線、紫外線を防ぐ意味においては大きく役立っている。大葉はどこでもおかまいなしだ。土壌にミネラルを栄養分とし、水分を葉に蓄えるから、土壌菌もかなりの増殖をしていると言う事だ。この移植は既に赤茶けたT国の大地にも擬ガジュマルの木周辺に植えられ、森林は大きくなっていた。




