第9章 新たなる境地に
「で・・今日の主題はこれだ。今まで極秘の研究だった。それが、どうにかある程度の形になったので、お前達に参加して貰おうと思ってな、尤も、ダンはエイジと共に居るから、エイジにも関連があるから声を掛けた」
「じゃあ、俺はついでにかい」
「ぷ・・そこを突っ込むんじゃねえよ、直接の上司がお前じゃないか、その許可も居るだろうがよ」
ダンの即突っ込みは相変わらずだ。ランは苦笑しているが、
「それって・・細胞の?」
「おう、そうだよ。今の俺達を含めて、現地球上の生物群の中で、全く太古のまま存在するのは、深海生物と僅かな土壌菌と菌類だろう。その種類も限られては居るが、徐々に地球上には戻って来ている。動植物の増加も少しはな・・それ以上に大葉の勢いが凄いし、擬ガジュマルの木も勢いがある。更に深海生物・藻類がかなり海水面上まで上がって来ているようだ。100年以上も時間は掛かったが、プランクトンが増えたら、海水面に適合した生体・藻類も増えるだろうと思われる。特に藻類は、今後急激に増えそうだ。そうなれば、貝類・魚類も復活出来るだろうし、瀬戸内湖の生物群も放せると思う」
「ほう・・もうそこまで来たか・・で?」
「この細胞を専門外のお前達に、独自の視点で色んな意見を貰おうと思ってな、研究者と言うのはやっぱり地道な積み重ねで、一歩、一歩それこそやって来た結果を重視する訳だが、こう言っては何だが、俺達がそれを指摘すれば生意気のように思えるだろうし、こんな疑問をぶつけたり、逆にアドバイスをするような立場でも無い。しかし、それ故に学者と言うのはやって来た事に固執した部分があるのでは無いかなと反面思った部分があるんんだよ」
「ははあ・・融通が利かない一方の方向からしか見ていない部分があると言う事だな」
ダンが頷くと、
「そう!そう言う事で、これは、一細胞だ。そして知っているように再生細胞だが、刺激を受けて無限増殖する和良クラゲとも違うし、環境変化で変異する環境依存型の再生細胞でも無い。指令を受信すればその方向にコピーする、或いは分化、再生する類のものだ。と、言っても理解が出来ないだろうが、ランの得意なCPUは無いが、優秀な今言う記憶媒体や、稼働を素早くする機能も、処理機能も優れた体の部分であると言う事だ。つまり、人為的操作のみに反応する、人工再生細胞だと思ってくれれば良い」
「ふうん・・それを聞いたら、補佐や、室長の専門分野だろうになあ・・で?どんな意見を?」
「それを一緒に参加してから、意見を聞くと言う話だよ。いきなりこれを見て説明を受けた所で何も分りゃしないだろうしな」
「うん、まあな。じゃ、言うなればそのメモリと言うか、今後データの演算処理とか、そっちの分野で、俺は役に立てそうか?」
ランが効く。




