第9章 新たなる境地に
シンの真意を聞けた事で、アマンは確かに自分達の視点が、一方向のみになっていた事を悟ると同時に、何度も思うがやはりシンの大きさを感じるのであった。優秀な人達は確かにダンやコウタ、ケンシンを始め居るが、その中でもこのシンの存在の大きさこそが、現在の組織の芯となっている事を更に強く認識するのであった。
その翌日だった、シンがダンをデジタル会議に呼び出す。ランも呼んでいた。最近では、首班と副首班の折り合いが悪いから遠ざかっていると言う声まで聞こえていた。確かに形を見れば、シンとダンは常に一緒に行動したり、しょっちゅう会議も行っていたから、組織の事実上№1と№2がこうも離れて行動していると、そう言う感じに見えてしまうかも知れない。だが、2人にはそんな声は、馬耳東風とばかり聞き流している。そう言う邪推や妄言等も、人だから起こり得る事と、過去のどこかの国にあったような、軽口でさえもチャックされ、反政府的者と決めつけられてしまうような、管理社会そのものは崩壊したでは無いか・・シン達は知っていた。人間は感情の動物なのだ。それは人間だけには留まらない。しかし、そこで理性が働くからこそ、集団で生きる術を身に着けてきた。攻撃性とは、食を奪い合う、そうしなければ自分が死ぬ。そう言う原理的な必然性から生まれたものなのだろう。だから戦争は止む事は無かった。2人はそんな話をした事もあった。この日はどんな話をしたのだろうか・・
「よお、日焼けして元気そうだな、副首班」
「はは・・なかなかだけど、色んな事は分かりつつあるよ、まあ・・首班より主査の方がこっちのエイジから連絡が行っていると思うがな」
「ああ・・逐一聞いているから、俺からお前に聞く事は殆ど無いよ、ふふ」
シンも笑う。この2人の関係が悪いなんて誰が思うだろうか、ランもその件は聞いているらしく、同じように笑っている。
「お、ラン、久しぶりだな、色々聞いているよ」
ダンがランにも声を掛ける。
「奇しくもさ、A国関連の話題になりそうな感じだな」
ランがこの3人のデジタル会話に何か感じる部分があるのだろうか、そう言うと、シンは、
「いやいや・・直接の関連は無いさ。俺はこの所、個別会合と言うのもおかしいが、少人数のデジタル会議は多発してやっている。2人も感じ始めているようだし、今俺達が取り組んでいるテーマは、とても分野が幅広い。これまでもそうだと問われればそうなるが、このランのデータベースになるべき取得は、ここ最近では第一級の功績だと俺は思っている。巨大なこの端末を実に見事に数十の部品分けして持ち帰ったからな。そして、地球到着後、回収した部品のスキャナコピーで即2つのデータベースとなるべき端末を、20Dプリンタで行った事も、検証する前にやった意味も大きいと思う」
「はは・・そんな事程度で」
ランが謙遜するが、




