第9章 新たなる境地に
「こ・・れは?」
「この細胞自体が一つのものです。しかし、無数の遺伝子情報を抱えます」
「つまり・・これが爆裂的に様々な細胞に化けると?}
「言い切ればそうなります。細胞は、例えば今も再生細胞があって、その活用もありますし、和良司令官の話題が出るのを首班は嫌うでしょうが、やはり再生細胞の研究はされておりますし、実際に存在もしていますから」
「ええ・・そうですね。全て悪い分野に眼を向けるのはいけない事だ」
シンは頷いた。
「先に人為的に変異すると申し上げました。つまり言うなれば、A国の月基地から回収の端末と同じで、外部的刺激、コントロールする脳が無ければ、単独で変異をする事は御座いません」
「そうか・・それを言われていたんですね?」
「はい。そこで、研究して来た中、近年になってどうやらある光の波長が何らかの刺激変異を起こす事が確認出来ました。ですが、何分現組織の旧式の機器の中で、そのデータ及び解析、また新たな光を発する機種であるとか、とても細分化しなければ出来ません」
「そうですか・・それは専門家、特定の技術者に特定してしまった弊害かも知れませんね」
「え・・」
シンが言うと、きょとんとしてアマンが眼を開いた。
「専門家、プロ、特定の能力を持つ専業的学者。確かに優秀でしょうし、現組織の中に見渡してもそうそう人材も居ません。どうっすか?この部門に、ショウとリンを一度加えて会議をしてみませんか?貴女は怒るかも知れない。メイ・リー博士もそうだと思うが、ショウの場合の3つ子に対して、今までどう思われていましたか?それにショウは両性具備です。このような事は、本来なら補佐や室長の分野に絡むし、今はこの場に居ないが、必要あれば副首班を担当に回しても良い」
「それは・・・この研究をオープンにすると言うお考えですね?」
「そうです。発想と言うのはどこで飛び出すかは分かりません。でも、ランのデータベースが組み上がれば、既に複製のものが1台は使える。この研究課程をショウに順序立ててファイリングすれば、そのデータは一瞬で取り出せるし、検証出来る事になるでしょう」
「あ・・そう言うお考えが、今の瞬間に思いつかれた訳ですか」
「ええ・・恐らくランは余り時間を掛けず結果を出すでしょう。真っ新な一台を回して貰えれば、補佐、室長の研究分野にも同時に使える。それは副首班も共有すれば、俺達はスタッフを1000人、10000人集めた以上のものになる筈です」
「首班・・改めて深く感嘆申し上げます」




