第9章 新たなる境地に
「突然変異と言うのは自然界ではこれも前に申し上げておりますし、首班は説明の必要もないと存じますが、適者適存の中で生き延びると言う選択の為に変異を繰り返し、その条件にマッチした動植物が生き残ると言う事です」
「その部分でですね、つまり気候の変動とか与えられた条件で刺激が必要になり、変異せざるを得ないと言う事ですよね」
「概ねそう言う事になりますね、はい」
「だが、それは環境依存型、過酷な環境に常に置かれた個体には、それは相応の耐久力と言うか、強い遺伝子を持っていると理解しても良いっすか?」
「そちらも概ねそう考えるのが妥当と思われます」
「で・・その変異遺伝子はどう違うんすか?俺が今言う突然変異とは」
「ふふ・・本日はこれが一番の主題だったのでは無いんでしょうか?つまり、M国の恐竜及び、大蛇、ヤモリ、カマドウマ風の昆虫ですよね、勿論」
「あ・・あはは。そうなんです。この手掛かりがまだ得られておりません。ここまでの歴史の中で登場もしていなかった細胞であり、遺伝子では無いかと思われますが、そのDNAデータが無いんです。ゲノム解析も現システムでは相当に時間も掛かるそうです。室長がここまで言うのはむしろ珍しい事で、部長に並ぶ、こちらの分析や生体学では第一人者ですからね」
「はい、とても重要な博士のお一人ですが、実働班のメンバーでもいらっしゃって、隠密班でもあられたマルチな才能の方ですからね」
「ふ・・貴女もそうでは無いですか。特殊能力と言う点では、何故今まで表に出なかったのかは、この研究があったからだと思っております」
「あら・・」
アマンは少し複雑そうな顔をしたが、すぐ
「で・・結論的に先に申し上げます。全くその根本が違うのです。変異遺伝子とは環境依存型では無く、次々と人為的にある刺激を与える事によって変異する遺伝子なのです。つまり自然界では有り得ません」
「やっぱり・・そこだ」
「え・・?」
アマンの顔が固まった。
「そこなんすよ、その部分に大きな疑問を持っていたんすよ。つまり再生細胞も21世紀に盛んに行われた事は知っておりますが、先ほどの再生細胞は、それを更に進化させたものっすよね?日本で発表されたものなので、先端医学分野ではやはり先進国だから」
「そこはそうですね、はい。でも・・」




