表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
120/1722

組織

「では、明日より行動を開始するが、本日、オオコウモリの襲撃を再び受けないように、通路構築技術のブロックを使い、無人駆動のBOXを設置して行っている。つまり、300M間の狭いが通路だ。これなら襲われる心配も無いだろう。そして、この技術を使い、大葉移植も君達が第一山切りの木以上先に進めるように、バックアップして行きたい。この通路さえ確保出来れば、山切りの木間は、ほぼ100Mだ。同じ工法が取れる筈だし、監視小屋も増やせるだろうからね」


 そこで、カイが手を挙げた。


「あの・・監視小屋を幾つも作ると言う目的は?」

「カイ君、これは作戦だ。君が、いちいちその作戦に対して質問する意図は何だね?」


 おっと・・非常に厳しい言葉が返って来た。命令に黙って従えと言うのは今までと違い、上から目線、絶対服従の言葉であった。それも今までの様子とは少し違っていた。


「は・・あ・・何でもありません」


 カイは普段から寡黙なので、それから発言する事は無かった。シリマツ官吏は言う。


「良いかね?諸君、これは実動をより明確的に、そして今までの調査も確かに必要だが、はっきり言う。我々の食糧事情に関する重要なミッションとなった。ころころと本当に方針が変わるようだが、組織としての決定には従わざるを得ない。それは、今までだって、これからだってそうだろう?まして、我々のミッションには命の危険さえ伴うと何度も言って来た。しかし、それでもなお、君達の勇敢さや優秀さも分かる故に言っておく、今からは全て、作戦を立て、その作戦の指示に従って貰う。そこで、その目的をいちいち君達は聞くのかね?それを逆に聞いたのだよ」


 言葉使いも、ここから変わった。それはぴっとメンバー達の顔を引き締めた。調査は勿論だが、そこに危険だから、指示に従えと上官らしく発破をかけたのだ。それは納得出来た。柔軟織り交ぜたやはり、シリマツはそうなるべくして上に立つ者であった。

 今回は、既にたった一日で簡素ではあるが、四角の長柱状ブロックを連結して、あっと言う間に人間がどうにか立てる通路が完成した。この工法は、サテンの提案を具現化したものだが、堅牢で作業も早い。そして材料は無尽蔵にある訳だから、これも問題無い。それに強度をそれ程求められるものでは無いから、鉄の芯も必要無かった。簡易的通路なのだから、目的だけ果たせれば、これを又再利用すれば、補強土台にも使える訳だ。用途は様々に考えられる。流石に技術班や、建築班は優秀だとシンは思った。

 次の次の事まで考えられているからだ。それはシリマツの言うようにミッションであって、これまでの実動部隊のように、言っては失礼だが闇雲に、まるで使い捨ての道具のように、実動部隊を派遣して来た。そんな事は駄目だと何度もエライ班長は言って来た。そして同じ轍をニ度と踏まないようにやって行こうとしているのだ。学習して初めて人間は進歩がある。つまり、失敗の先には成功が待っているのだ。若松は、残念ながらシンがやろうとして確かに失敗したかも知れないが、そのネットワークの中で何をやろうとしていたかの真意を知るべきだった。確かに結果としてミスを連発したが、それは次に課題を残こすミスであったのだ。それは連帯部が認めていた事だった。

 丁度その頃だった、シンが所属していた企画管理室で、新しく室長についた兼真泰司けんまたいじは、室の中でベテランで45歳になる主査の仁井田元にいたはじめをデスクの前に呼んでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ