第一章 進の日常
「まあ、良い。確かに、寡黙でとっつきにくいと言う君の評価には頷ける部分はある。しかし、企画情報室のメンバーは、専門的に大学院、博士課程を決まったコースで入室した者達じゃないか。そこへ、全く畑違いで専門外である聖君が配属された謎は残るとしても、我々がそんな人事に口出しが出来ないのは周知の事だ。なのに、そう言うレッテルを貼って、聖君が当然業務内容を知り得ているだろうと、指導する者も居なかった。そうだろう?」
「は・・はい・・」
「つまり、それこそが若山君、君の管理責任だと判断されても言い訳も出来ない。反論があるかね」
「い・・いえっ!申し訳御座いません」
椅子から立ち上がり、若山は、先ほどシンを叱っていた時のようにぺこぺこと頭を下げるのだった。
「良いよ、その事は。私も配属の事では一切口は出せない。だが、もう少し君が彼に手取り、足取りでも良いから、きちんと仕事内容を説明し、指示する必要があった。その上で、ミスは誰でもするが、君が今日彼に反論された企画書を持って来たんだね?見せたまえ」
「あ・・はいぃ」
全て企画情報室の一挙手一頭足が、この外山=情報管理局長補佐に把握されている事を知り、若山はその企画書を提示するのだった。