第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「この細胞の事をもう少し詳しくお話しましょう。メイ・リー博士、実験の件はまた後程」
「ええ、分ったわ」
2人は、座り直した。
「この細胞は、卵子もそうですが、精子も増殖出来ると言う事です。ですが、一個の卵子に対して、精子の数は10億に上りますので、今は凍結精子だけで十分でしょう。更に、この細胞を使えば、今でも再生医療もこの時代には残っておりますが、欠損した体の一部を再生する事は可能です。ですが、問題がある部分の事は、今説明の必要性は無いですよね・・」
「そうだね、再生細胞は、本来の細胞の半分しか寿命が持たない。テロメア・ヘイフリックと同じだからね」
コウタが頷いた。
「そうです。それが為に和良司令官は残り寿命を失いました。尤も人間の寿命はもともと125歳までは可能だそうですから、我々の前時代の人達は、130歳の年齢をフルに使える免疫力、活性細胞、延命力など様々な強い遺伝子の中選出され、ゲノムを書き換えた形で、実働年齢を延長させた形です。しかし、せいぜいそれまでの活動年齢を20歳程度延長しただけでは無かったでしょうか?失礼ですが、黒川主査の実年齢は65歳です。今もご壮健にお見受けしますが、いかがでしょうか?」
黒川主査が、苦笑いする。
「はは・・多少耳も聞こえなくなって来たし、新たな栄養食のお陰で以前よりすこぶる体調も良いが、活動年齢で言えば、60歳を境として、少し落ちたかも知れないね。もう実働は無理だな、以前のようには、カリキュラムでの体力指導は出来ない」
「申し訳御座いません、比較する為にもそう言うお声が必要だったので・・さて、この細胞ですが、勿論自身の細胞であり、複製で御座います。つまりクローンと言う原理とも重複して参りますが、そこのまた違いを・・」
ここでシンが、
「主査・・今はその説明は良い、進めて。応用は俺達が決める事だ。聞きたいのは、これが人員増に繋がる話だと理解して良いんだね?それをまた実行するにあたり、計算上では無く、実際上の問題とか危惧とか色んなものはクリアしなきゃいけないと思う。でも、その画期的細胞を増殖出来た経緯とこれからを聞かせて欲しい。聞けなかった内容は、このメンバーに限りオープンにしたい。皆で考えよう。自己満足はいけないからね」
「は・・はい」




