第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
ここでまた横道に逸れて、経緯を知る必要は無かった。キョウはすぐその話を引く。
「では、よろしいですか、説明も長くなりますから、お楽にして聞いて下さい」
メイ・リー博士とのこれからが研究命題であり、2人は黙って聞いていた。敢えて口出さずとも、どうやら中心はこのアマンだったようだ。そして、次のパネルは動画であった、何やら蠢く無数の細胞が画面に現れた。
「これが、長年の研究による、複製細胞です。その昔IP細胞とも呼ばれておりましたが、その細胞とは原理は同じでも全く異質なものです」
「これが・・どのような?」
コウタもキョウも質問する。シンは黙って聞いている。
「この細胞は、つまり卵子にも当てはまると言う事です。端的に言えばですが・・」
「え!」「あ!」
2人は眼を丸くした。ここで発表内容が分かったからだ。
ここで、メイ・リー博士が初めて言葉を発する。
「和良司令官の和良くらげについては、室長も随分と調べられた。そうですが、あちらは暴走細胞と申しまして、刺激を与えられたら、その身を保護・修復する為に自ら細胞の芽を吹き出します。つまり、基はベニクラゲの遺伝子応用ですので、自ら刺激される度に子孫を増やす形式です。子孫と申しましても自分自身の細胞ですから、無限増殖となります。今もなお佐賀の海に漂っていますが、刺激が無い以上今は増殖する危険も無いものの、爆発的に増える危険性を持っています」
「むう・・その通りだ。ただし、栄養価がとても高いから、完全食とも言えるが・・」
「いえ、例えそうでも、体を切り刻み、それを食用とする限り全てを食べない事には、増殖スピードと切り取るスピードを同列以上にしないといけません。まさしく究極の食料にも成り得るのでしょうが、今は手付かずで放置されています。それよりも擬ガジュマルの木のヤドリギである果樹の方が効率的でもありますからね」
「うん、そうだね」
「話が逸れましたが、その細胞とは別に位置するこの複製細胞は、人為的に操作できると言う事です。いえ、そうなる為の研究・実験を重ねて参りました。そして、更に・・」
言いかけた所でアマンが制した。




