第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「あの・・どうかされました?」
敏感なアマンは聞いた。
「あ・・何か自分の表情に変化がありましたか?」
「え・・いえ。でも少し穏やかと言うか・・あ、済みません。何時も落ち着いた感じを受けますが、どこか更に・・」
「ふふ・・何となくっすけど、展望が開けるのかなと思いつつあります。今日は戻られて間もなくですけど、報告の方を全部聞く訳にもいきませんので、出来るものから願います」
「はい・・私がずっとメイ・リー博士と共同研究していた事に関するものです」
「ええ・・」
「遺伝子工学分野は、補佐が第一人者で御座いますので関する資料をお求めになる時は、そちらで願います。私は遺伝子の優性・劣勢と言う分野と、多発的遺伝子暴走と言う分野を主にやっておりましたので、今日はその事を先に」
「難しそうっすね」
シンが苦笑する。
「いえ、首班程の方でしたら、ご理解いただけると思いますわ。ふふ」
「おっと・・じゃあ、聞きましょうか」
「はい、私は以前より今の人工保育設備には問題があると思っていまして、もはや人為的な形では無理だと感じていました。ですが、シリマツ官吏の強い言葉で、補佐が担当され何とか成功?と言えばおかしいのですが、3年前に誕生したたった3名の第4世代は、つまり失敗とも言えるような・・」
シンの眉が曇った。確かにその後の話では、思うような結果にならなかったと言う事だ。そして根本的な人工増員計画には繋がらなかった。これは、レンジ=和良司令官が、現組織のメンバーで、もしもの時の為に自分を施術出来る医師を探していたと言う目的上だったのである。組織的な人口増員計画では無かった。だが、無理を承知でコウタはやったのだ。途中でやる気を見せながら、放棄している点もアマンは知っていたようだ。今はT猿人による人口増員計画がスタートしているが、これも恐らく多くの子孫を残す事には繋がらないだろう。猿人の数も増やさないといけないし、適齢の女性の数がそれでは増え続け無ければ、卵子の提供が減り続けるのだ。これも無理な計画に見える点を恐らくアマンは言っているのだろう。




