第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「とにかくさ、先時代の考えを踏襲して行くと、見えるものがあると言う事だ」
「だから、いつも回りくどいっつうんだよ、その言い方は、俺に何か連想をさせようと言う魂胆なんだろ?」
ショウも苦笑いする。この二人の掛け合いとはそう言うものだと承知しているからだ。
「まあ・・自分の論と言うものとある程度の経緯もあって、それは首班もどうかと言う問いだ。自分本位で主張していても、それは討論形式にはならないからさ」
「つまり、あくまで討論にして自説を練り上げて行こうと言う事だな?じゃあ、言う。和良司令官は全て違う方法でコピーし、テロメア・ヘイフリックを書き換えて若返った?そこがずっと疑問だ・・だが、もう少し待て・・自身の完全体完成には、そのままコピーの脳移植なのか?或いは自身の脳細胞の活性化と言う非常にややこしい難問がある。今首班の言う遺伝子操作は、BOX型AI端末を利用するとても難易な手術だ。その辺も含めて、遺伝子はお前の専門分野だし、拝聴もしているが、その先にある何が今日の議題の本意なんだ?まるでパズルのように思えるが」
それにはアマンもショウも同感だった。回りくどいと言う表現よりも、そんな言葉で何が連想出来ようか。
「まあ・・ちょっと話の論点が離れすぎていたかな・・でも、リンの発想は非常に面白いと思った。俺はその延長線上において、今回その話を出した。と、言っても首班が笑い飛ばしたんだから、まさかそこに繋がる話にはならないわな、ズバリ言う。まさしく俺が考える延長線上に、壮大なスケールの地球改造計画があると思う」
「地球・・改造計画だと・・?」
「荒唐無稽だと思うだろう、だが、リンの言う事には俺も同感部分がある。日本が何故こんなに不要とも思える地下掘削を続けたのか、また電磁パルス爆裂後においてもそれが継続されていたのか、そこに何度も比較比喩もされたく無いだろうが、和良司令官の影がある」
「むう・・確かに地下掘削の主導的役割を担っていたのは、単なる資源採掘では無かったよな、もう石炭も石油もガス田も不要になっていた。ミネラルであるとか、無限にあるマグネシウムであるとか、合金の必要元素を取り出す為だけにこんなに掘削が必要かとも思っていた反面、地下に活路を見出し、地下通信路の役割を知った時から、確かに世界戦略的なものは見えはしたわな」
「そう・・そこにあると見て、色んな分析をずっと前からやっていた。何かが地球において脈動していた。そして、何故俺がランと共に月に興味を示したのかも共通したものが見えて来る」
「・・・月も他惑星も地下基地、移住空間か?」
「まさしく、惑星こそ狭い地球でひしめく各国との競争原理の中で、自国、自星を奪取出来る目的であったと見る」




