第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「それは、AI停止後では解明が出来なかったんじゃないかしら」
「確かにそうだね。地下通信路が旧式のケーブルであり、R国~T国経由でM国ルートは和良司令官がこの時代に登場する前に既に存在していたし、和良司令官はT国に主眼を置いていた筈だから、そこまでは関連していないと見るのが正解だろうな、副首班もそう言っていたよ」
「どこかでもう少し延命があれば、行き着いていたかも知れないと言う事ね」
「うん・・人間には、どんな天才であろうとも成し遂げる限界がある。そして和良司令官が電磁パルス爆裂を実行出来たとしても、その反面情報も失ってしまったんだよ。だって、地球全土を網羅する無線光ケーブル網に、もはやの穴があった訳だから」
「穴がある事には気づいていたんじゃないかしら?また大蛇は単独で日本にやって来られる訳は無いですもんね」
「そこ・・謎の部分だよね」
彼らの会話は、長時間にこの日は及んでいた。それは次第に会話せよ、見えて来るものがあると言うシンの真骨頂とも言うべき引き出しの世界であった。彼らもそれに染まって来た証であった。
「でも、M国の調査団には和良司令官は入っているよ、そのあたりで全然知らなかったと言うのは矛盾している」
「そう・・その論は最初から破綻しているのよ。でも、その時は政府の上層部が居て、調査・研究団に主要施設を公開する事も無い。恐らく資源の話だと思うわ。塩田の所在を副首班は当初から推察していた。きっと、その辺の資料は組織内にあった筈。でも、もはやそんな組織滅亡の間際に、そこを調べる人も居ないわよね」
「そうだよね・・だって、そんな組織上で自分達が与えられた任務以外で、活動したり、ラン班長・ショウ班長のように自分の趣味・趣向の範囲で興味を持つ者以外に、そう言う世界観なんて生まれる筈も無い。それは副首班がマルチな方だからこそ、独自の情報で引き出したものだと思うし、こちらの調査も同じ事なんだよね。首班は、だからこそ自由行動の許可を下されたと思うんだ」
「首班は本当に奥深い方だわ・・傍に居て更に実感を深めている」
「それは、俺もだよ、で・・君がこちらの情報について知りたい部分とは?どこかに関連があると見ているのかい?」
「それは、分からないわ。でも、今我々が遭遇している世界の中で、人には出会わないけど、ある特殊な環境の中に一部の植物・生命体が確かに存在すると言う事よ」
「それと痕跡とな、大事変を示す根拠は無数にあったし、電磁パルス爆裂がそれに追い打ちを掛けた」
「その前に、電力が供給され続けている限り、AIは稼働し続けると言う根拠も確かめねばならないと思うの」
アマンはどうやらそこへ切り込みたいようだ。




