第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「はい。誰にも申しません。では・・せっかく室長の所にお伺いした訳ですから、研究室にご案内を願えますか?」
「分かりました。そのつもりで本日は招待をしたので」
*お分かりだと思うが、とっくにT猿人はT国の森に戻されていて、ここに居る猿人は、その為にT国から連れて来た個体達だ。シンはそれをキョウにも告げては居なかった。見破る者等は秘匿故に誰も気付く者も居なかった。そして、シンでさえもそれを公開する事は無かったのである。
彼らは、もう詳しい事を言わずとも暗黙の了解が出来ていて、アマンもようやくそれに慣れて来た所だ。研究は、勿論ヤモリの事である。進展はあったのか・・・?
「さて・・ヤモリと呼ぶが、部長に動きをデータ化して貰いながら、観察カメラにも透視が出来るような物を新たに設置したんだ」
「ほう・・色々出て来るなあ・・」
「産業資料館には、まだまだ使用出来そうな機種もあるし、俺達にとっては宝の山がここに眠っている。それに過去の遺産を継承しようとか、これを陳列して賞賛したり愛でる習慣なんて俺達には希薄だろ?一部そう言う者が居るかも知れないが、ランやショウにとっては、使えない物なんて無いと言う主義者も居るし、そこは部長とも大きく被っている」
「つまり・・そう言う物が資料館にあったと言う事か」
シンが言うと、キョウも
「ああ・・これからも使えるものはどんどん使うし、分解すりゃ、これをインプットしとけば、30Ⅾプリンタで製造も出来る。コピーを作っておけば、何ら問題は無い訳だ。30Dプリンタでさえも、もう5台コピー出来ているそうだから、俺達には生産すると言う前時代の遺産があるじゃないですかと言う言葉を貰った」
「まさに・・そうですわね」
アマンもにこりとした。
「まあ、雑談をしていても前に、進む話が出来ないから今確認出来た事を説明ましょう」
シンもアマンも、キョウが示す画面を注視する。
前回よりどう進捗したのか、気になる所だ。コウタは、またランと月面基地の収穫物を調べ始めたようだ。彼らは何等かのヒントが他国に無いかどうかも、同時進行で調査し始めたのである。どこに繋がりがあるのか分からない状況にどうやら突入したようだ。M国と日本だけの裏同盟より他国にもそう言う表と裏の同盟が存在する事を、コウタがランに告げていた。こちらは・・
「前回調べたDNAも、もう少し細分化して調べた。やはり近世代のどのDNAにも一致したものは無かった。と言う事は、遺伝子操作の成されていない原種或いは未発見のUMAの可能性も出て来る訳だ」
「ふむ・・どちらかと言う選択枝か?それしか無いと?」
「言い切れない。だが、どんな遺伝子操作をされていようが、どこかにその痕跡は残る。書き換えた、追加したと言う情報だ。それが無い」
「成程な・・で?」
シンは次の進捗した部分を聞いた。




