第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「はい・・済みません。私もずっとメイ・リー博士と似通った研究をしておりましたので、ここは補佐では無く、実際に今この事が最も近いと思われる室長ならばと提起しました」
「まさに・・まさに自分が思う所はそこだった・・しかし、同じように考えた方が居て、そこに行き着いた」
「室長・・これがM国の不可思議生命体の突破口になりませんか?そこは和良司令官が学んだかも知れませんが、もっと前の時代からの研究なのだとしたら、幾つかの謎は解けそうな気が致します。私も、もやもやとしながらずっと考えていたんです。でも今のお言葉で何か見えたような気が致します」
「そこ!もう少し煮詰めて見ましょう。5人の新人類にも面会して貰いましょう。今は自分が管轄なので・・」
「はい、是非」
どうやら、アマンはこのT国猿人の遺伝子及び、和良司令官がどのようにして象の腹に仕込んだのかも含めて大きな興味を持っていたようだ。そしてまた別方面からの切り込みにおいても、M国に異質な空間が見えて来るのでは無いかとキョウは感じた。・それは、互いに学者である故の感覚なのでもあった。
そこへシンも戻って来た。アマンがT国新人類を見たいと早口に告げると快諾し、一緒に見ようと言う事になった。そして、このT国新人類において大きなダミーが意図的に存在している事をアマンは知っていたのだ。どんなに考えても、生まれて1年半の赤ん坊である筈の彼らが、小学生レベルまで成長出来る訳が無いと言う事だった。しかし、それは誠しやかにもう天才少年博士の触れ込みによって、全くこれは*別の僅かに誕生している第四世代の少年・少女達を配置もされているし、周知の事実であると言う不可解であった。それをストレートにアマンが出した事に、シンは驚きながらも、とうとうそのシンの意図を知る者が現れたかと言う満足的な笑みに繋がったのである。
何故・・ここまでそんな偽装が必要だったのかは、これから知る事になる。アマンがキョウとそんな話になった事に大きな秘密があったのである。一つだけ言えるのは、不可思議な領域に入っていると言う事だ。そしてヤモリ捕獲にも繋がるからだ。
キョウが扉を開ける前に言う。
*コウタ達は、もう少し早くからこの人増員計画には関わっていて、その時に僅かに第4世代と呼ぶには語弊があるが、生体プリンタ方式ではない、人為的受精卵の方式によって20人程の世代を誕生させている。誰もその事は知らず、その中の5名は英才教育によって優秀な者達であり、最も若い世代の者達なのだ。だが、ずっとこの極秘プロジェクトは伏せられていて、レンジがどこからか情報を得たのだろう、シリマツ官吏を動かして人増員プロジェクトをコウタに指名した。また、成功率の事はシンによってこれも伏せられて来たのだ。実際のT新人類と言う表現は、あたかもその和良司令官が途方も無い方法によって仕組んだT猿人の和良式遺伝子操作だと言われている。シンはその経緯を確かめたかったようだ。




