第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「はは・・クマムシの話までしたんすか・・でも、それは水分0.005%に乾燥状態になった時の話であって、その時に活動しているんじゃなくて仮死状態じゃないっすか。広げ過ぎだよなあ・・話を。補佐もさ・ははは」
「ふふ・・でも、だったら、ゴビ砂漠やソノラ砂漠でも生き延びている可能性を私は見ましたわ。あの話の中では言わなかったけど」
「成程・・つまりそう言う事っすね・・ヤモリは、その状態で生きられると言う遺伝子MIXをされた生体だとしたら、どんな環境に置かれようとも死滅する事も無い。例えば、何で瀬戸内海洋研究所の生物が多用で、瀬戸内圏内だけに生息しているかの謎は、そこにあった。だから、日本政府の研究目的とはそこにあり、食料としてそう言う状態でも保存しておけると言う話にもなる」
「まあ・・室長も広げますねえ・・話を。でも、隊長とケン班長が、深海生物の画像をどんどん送って来ております。この生物の中には、相当不明な研究対象のものが居るのでしょうね」
「ええ、もっともっとご先祖さんには、こう言う方面に力を入れて欲しかったっすよ。それに昆虫も今回M国で発見されておりますが、この生体も調べたらクマムシに共通するDNAが検出されている。やっぱりその辺の想定もしていたんだなと、補佐もそうだけど、副首班も目的が殆ど被ってますよ」
「私も話をしている内に、あれ‥同じことを違った方法で、それぞれの方が検証しているんだって感じました。そう言う事なんですね、シン首班の思いは、もう周囲の者が自分の中で感じて単独行動に見えても一致した中で自然とやっている事なんだって」
「あ・・そこは屈解っす。俺達が今直面している方向性があって、そこを進んでいるだけっす。その結果として方向性がどこかに真っ直ぐに向いていると言う事なんじゃないかなと思います。だって、首班がその立場だから、次はここだと一言を告げれば、それぞれの者は自分で考えるって事だと思うんすよ」
「はい・・私も微力ながら、色々やっております」
「頼もしいっす。はは」
キョウは頭を下げて、自分の持ち場に戻って行こうとした。だが、アマンが少し待ってくれるように言う。少し意外な顔をしながらも彼は再び座りながら、この現状をアマンに雑談のように話すのであった。コウタは合間にラン達とも合流し、もうかなりのA国月面基地の機材や装置を持ち帰って来ているようだ。宇宙空間用のエレベータ方式による機材を運搬するのは、かなり大型のMSI飛機宇宙用改良機だ。人を乗せる事は今は無い。リスクを負う必要は無い。こちらで操作した方が何倍も動けるからである。シン達は、限られた人数で世界を駆け回るのはもはや不可能だと思っていた。現実的にいかに高速移動が出来ようとも、彼ら人間の力によってやれる事は、限られているのだ。そこを今まで自覚はしていたものの、動かざるを得なかった。外に誰もやれる者も居なかったし、特殊な訓練を受けた者達でしかできなかったからだ。




