第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「つまり絶対ゼロ度から150度の高温にも耐え、圧力においても0気圧(真空状態)から海底の75000気圧までも耐え、放射線も人間の致死量の1000倍以上も耐えられるようになると、昔宇宙空間で10日間実験され、地球に生還しましたよね。覚えております」
「ふふ・・主査は古い文献をご存じのようだ。つまり、ずっとその空間に居る訳では無いから体内に補助タンク、深海に潜るマッコウクジラ等、呼吸をしなくても1時間、2時間耐えられる体内タンクを持っていれば、可能だと言う事だし、宇宙空間で今行っているようなバーチャルアーム駆使の回収作業にしても、絶え間なくその電磁波は宇宙空間に降り注いでいる。人間の体には有害だと言う事で、宇宙服も着なければいけないが、そう言う遺伝子MIX生体を実験する工場は、例えば一例としてA国が独占した月なら可能だろう?」
「補佐の最大の狙いはそこだったもんなあ」
シンが言うと、コウタは今度は眼をくりっとする。
「知っていたか・・それはランにも言って無いんだが・・尤もランはそっちよりむしろ通信機やA国製のネットワークデータを回収したかったようだ。それによって、A国製のAIを動かす事は出来ないかなども考えたようだ」
「それは初耳・・AIを動かす?メインシステムが動いていないのに」
流石にシンもそれには驚いた。
「あ・・それで、ダン副首班がA国に・・繋がって来ましたわ」
アマンが眼を輝かせた。
「おいおい・・だから補佐と話をしたら、偶像が現実になっちまうんだよ。それって、想像の域を超えて現実論じゃんかよ」
シンが絶句した。
「いやいや・・だからさ、ここまで言わないとM国のヤモリについて分析が出来ないだろう。どこかで何かがその時代に応じて、どこで枝分かれしたかは知らないが、鎖国的な政策に代わる時に、色んな方向に進んでいるんだ。その思惑は情報収集と言う形で取り込まれている部分も大きい、それの先駆者と言うか世界の情報合戦とT国とA国が繰り広げていた訳じゃないか、だから、和良司令官は真っ先にT国の学者と手を組み、その国を裏から潰したんじゃ無いのかな、M国は恐らく和良司令官はまだ及んでいない部分が残っている。もし、寿命が延長されていたら、俺達より先にM国探索を目指していた筈だ。あそこが分岐点だったんだよ、瀬戸内海洋研究所がさ」
「とうとうそこまで遡っちまったか・・」
シンは唸った。彼らはずっと自分達の疑問を自問自答しながらぶつけて来たのである。そして宇宙へ行くと言う現実よりも、バーチャル機動と言う選択肢を、安全面より重視し選択する過程が出来上がるまで待ち続けていた事になる。アマンは、




