第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「そうかあ・・正に・・でも、ダンはここまでシンの横に居るべき、重要な立場だった。今からもそうだが、俺達が左右となり、アマンが伝達役を担うって言う事だな?」
「おいおい・・それは補佐。考えが自己分析過ぎる。それをいちいち言う必要はねえんだよ。シン班と言うのが、誰でも補佐出来る立場だって言う事さ、そしてシンを少しでも今の立場である重責を軽減してやりたいと思っているのさ」
「ああ・・分かった。ショウの口から聞けた事で、より俺達も動きやすい環境になれたと思う、こんな事は、自分達から言い出せないからな」
「あら・・大変失礼な言葉になりますが、そこに距離と言うものを感じます。恐らくショウ班長が言われたのは、距離を開けるな、誰がトップでも構わないんだと言うシン首班のポリシーが生きているからではないでしょうか。今言われたのは遠慮が見えました」
「ふ・・」
ショウは、何故このアマンがシンの秘書的な役目で加入したのかを理解した。コウタもキョウも、まだシンと距離を開けていた自分に気づかされる事となった。そして、ショウもその後から加入したとかシン斑のやり方を自分なりにどうしようかと迷っていた時期の話を、ケン達にいじられたと言う話をした。つまり、客人のようになっておらず、自分達と同等、仲間なんだと感じろ、飛び込んで来いと、ケンが特にその役目を担ったのだ。それこそ、彼流の包容力と優しさの一面なのだ。今ではショウもケンをしょっちゅうやり込める立場でものを言う。どこに新加入とか境があるのだろう。ケンシンは黙っていたが、にこにことしている。シンも何も言わずやりとりを聞いていた。そこは口を出すべきでは無いし、組織そのものが、自然と形づくられるべきと言うのが彼のスタイルだったのである。最初から理想を求めたら、やはりどこかでそれはつまずく、このコウタもキョウも形を求めるタイプだからだ。ショウは、それを恐らく言いたかったのだと思う。アマンが見事にそれを繋いだ。
「さて・・どこからやろうかな、動きについては、より身近で直視も出来る環境だ。ヤモリ生体の360度4D画像によって、その体組織構成も表面上は分かっているが、細かい突起等は画像だけでは見えなかった。恐らく、この突起が何等かの外敵から身を守るセンサーになっているのかも」
キョウはこの分野の第一人者だ。コウタやダン、他にもこの分野の者は居るが、彼は群を抜いている。誰もが今では認めている所である。
「重要だな、そこは入念に調べる必要がある。この捕獲ミッションを思い立ったのは、首班、どのような思惑で?」
コウタが聞く。性格なので、理論的に考える彼はそこから出発する。だが、現組織の№1の学者であるコウタは、非常に頼もしい。補佐役に回ってくれた事に深くシンは感謝していた。




