第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
茶も用意されていた。健康茶とも言われていて、多くの栄養素が入っている。彼らの体力も持続力も知っているが、緊張した中で目いっぱい彼らは集中して来たのだ。筋肉を和らげる効果と精神を落ち着かせる効果もある。やはりその目配りは凄いなとシンは思ったのであった。
少し間が開き、シン達も同じ茶を飲みながら、後20分もしたらケンシンも合流するだろう、話が始まった。
「隊長、俺の見立てと言うか、追い込めば何とかなると思っていましたが、どうしてどうして・・この生体は、奥へ奥へとじりじり後退して行っていましたよね」
「そうだね・・あらかじめ奥にも仕切り的なものは用意していたが、どうしても、この通信路と言うのは旧時代のもので、非常に凹凸が多い、素材も今こちらで構築されているようなものでは無いから、隙間が空くんだよね」
「そこを部長は見ていたと言う事っすね」
「ああ・・俺達には、もっと早く網籠に追い込めると言う慢心もあったかも」
「あ・・それは俺もっす。シンに怒られたように捕獲ミッション自体を舐めていた部分があった」
「部長、ショウ・・それは俺もだったよ。予想を遥かに上回る動きだった。だから、部長にここは任せたんだ」
「こと細かく部長は俺達と会話をしていたからな、あらかじめバーチャルヤモリを画像で作っていて、動きを全てインプットしていたから、最後はどっちが画像で本体かは分からなかったよ、でも、隊長の動体視力が1匹を捕らえたからさ。そこは凄いと思うけど、それ以上に5体同時に網籠に追い込んだ部長の方がもっとすげえよ」
それは全員が頷くのであった。
シンが言う。
「俺は、今まで感覚で何かをやっていたんだとつくづく思う。偶然にも結果がついて来て、後追いのような理論がついて来る。しかし、何時も言っているように、あらゆる方向性を考えるのと戦略を練るのとは違うと思うんだよ、今回はそれが良く分かった」
「おいおい、首班程の者が感覚だって言い始めたら、俺達はどうするんだよ、確かに俺は理論があれば、どんな事も成し遂げられると言う思いあがった部分もあったと反省している。それは実験や研究なら方法を見つければ必ず答えが出る。しかし、首班がやって来た事は、全て未知数の分野の事じゃないか、そこに予想を立てるのは至難中の至難だし、結果を想像はしても、導ける確率なんて言うのは偶然でもある。しかし、それでも回り道をしたと後で言えるような事も成し遂げて来たじゃないか。また、引く時にはすぱっと引いている。今回のM国探索もそうだし、隊長にA国探索を中断させたのも、その未知数分野における危険性を感じたからだろう、違うか?」
コウタが言うと、正にその通りと全員が頷いた。




