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シンカラス  作者: 白木克之
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第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・

「おお!全部の個体を捕らえたぞっ!」


 これも予想外の事だ。全て捕らえる事は無かった筈だが、ケンシンは全ての個体をこのミッションで捕獲したのである。コンプリート・・こんなに困難なミッションであるとは、シン自身も思っても見なかった。しかし、ケンシンはその動きをしっかりと把握し、とんでもなく素早い生体である事を見抜いたのだ。そして、何等かの体にセンサー的な機能が備わっているのであろう事も予想されたのであった。バーチャル室に4人は向かう。彼らを労うためだ。ケンシンについては、間もなくこちらに合流して来る事になった。


「ご苦労さん・・良くぞ完遂してくれた、隊長、ショウ、ご苦労様」

「無理かと思った・・とんでもなく、予知能力でもあるかの如くこちらの動きを先周りして回避するんだよ、ああ・・疲れた」


 ショウは正直に言った。


「隊長、その眼でも追い切れなかったっすか?」

「ああ・・とんでも無く素早い動きだった。普段はじっと壁ぺたで居ると思っていたら、ある程度の距離から詰めさせないんだよな。全て間合いの外さ。部長のサポートが無かったら、諦める所だった」

「へえ・・隊長程の不屈の精神を持ち得た人が・・」


 キョウも驚いた。


「とにかくさ・・気づいた事がある。部長にも伝えてあるが、ここで休憩がてら話がしたい」


 ショウが申し出るのと同時に、もうアマンは椅子を用意していた。彼女の気遣いと言うかやはりそれも先読みなのだろう。目配りは誰も真似できないものである。


「主査、用意が良いね」


 ショウがにこりとする。アマンとは兄妹であるメイ・リーとも良く顔を合わせていたので、この中では一番彼女を知っている一人だ。すっきりした顔立ちのアマンもやはり美女の一員であるが、ショウの美貌はその女性的な顔もそうだが、美しい金髪の長い髪で、恐らく現存人間の中で、最も美しいと言えるだろう。だが、彼らには美醜と言う価値観は薄かった。芸術と言う分野がもう廃れて久しいからだ。

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