第8章 シンに初めて助手兼秘書が・・
「まだサンプルも無い状態で、画像解析だけの事だ。多分に推論が入ってしまうから、論証を見つける為の捕獲だ。だが、今補佐の言うように、その遺伝子には複数の種類があって、成長遺伝子の他に、無限増殖をする種類もある」
「無限増殖?和良司令官の開発した和良クラゲのようにか?」
「それもその一つだ。だが、栄養素を蓄えると言う点では、オートファジーの傾向の方が強い。つまり、刺激が無いと無限には増殖しない。有限がある訳だ。前に自動修復と言う研究についても21世紀に進んでいたと言う話は知っているよな?」
「あ・・それは、私の専門分野でもあります」
アマンがキョウに言うと、
「そうなんだよ、主査、そこを積極的に出て欲しかった部分なんだ」
「え・・そこなんですか?」
「いや、色んな複合性のある話になると思う。ならなければ、容易にはこのM国の事についての解明についても遠いだろうな」
「うん・・そこで?話を分断せず、順を追って説明しろよ、室長」
シンは会話においては、もう役職名で徹底している。
「ああ・・今から考えを言う。つまり、みみずの腹の中から出て来た回虫の組成は、みみず自体をコントロールするような遺伝子を持つ。共生する生体の行動を監視し、それが自身にも益になれるような状態を作り出すものだな」
「ふうん・・まあ、その手の話なら、分からない事も無いがな」
シンが頷くと、キョウはアマンの顔を見て、
「それとこっちは主査が専門だろう、もう少し詳しく補足してくれよ」
「あ・・はい。その回虫ですが、みみずの分解した擬ガジュマルの木のヤドリギである果実から、自然分解されるあらゆる栄養素を体内アルコールとして蓄えるようです。そして、そのアルコールと栄養素をミミズに与え、成長を促します。巨大になっているのは、根本的に組織で飼育するみみずとDNAは同じなんですが、ドーム内のみみずには回虫は存在しません。よって生体の色も大きさも違うのです」
「ふうん・・同じ種なのだが、回虫の共生は無い。その共生が無ければここまでT国の擬ガジュマルの木周辺しか生息しないみみずの存在だが、大きくなれないと?」
「はい、そしてその寿命も組織のみみずは寿命も1年ですが、T国のみみずは10年以上生きると思います。何故なら成長する度に、成長線が現れ、それが多い個体で10数本ありましたので、そう考えております」
「そうか・・良く分かった。で?室長の分析結果は?」
「その体内アルコールの成分を分析した結果が、この表だ」
キョウはシンにそのデータを見せた。分析表を見てもシンがそれをすぐ理解出来る筈も無い、専門家では無いからだ。キョウはそれを見せながら、




