表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンカラス  作者: 白木克之
110/1722

基地

 大葉は、直径1メートルもの一枚物の葉で、蓮根の葉を大きくしたような形状だ。蓮根なら、ドーム内の池にもあった。その中の土壌生物、菌を調べているのも化学班と分析班であった。ミドリムシの培養もこの100年前には進んでいて、工場生産設備がそのままドームにある。それは、近未来の食を安定させたものであり、貴重な食料の一つであった。そして、人類は再び外にも食を求めようとしているのだ。この先人類の未来を繋ぐ為に。自分達で地球をこのようにボロボロにし、破壊しておいて、今更何を求めるのかと思うだろう。しかし、先人はつくづく愚かな行為をしたものだ。否・・やらざるを得ない状況に陥ったのかも知れないが・・。その理由を知りたいと思うのも、彼らの行動のモチベーションになっているのかも知れない。


「すると、やっぱり何かの目的だと考えるのが妥当だよな?」


 ランが言う。


「そうだな、そう俺も思う」

「山切りの木は、木の直径が5メートルあって、高さが15メートルの煙突のような形だ。枝は、てっぺんから傘のように地上から高さ5メートルの位置まで太さ1メートルの枝が放射状に降りて来て、そこから水平に短く細い枝を伸ばし、直径20センチの丸い葉をつける。色んな図鑑や、日本にある樹木を調べたが、どこにも掲載していなかった。これは、100年前に、電磁パルスが起こった時期の後から生えたと俺は想像する」

「ほう・・ランの情報通なのと分析の確かさは俺も良く知っているが、その推理に関しては同感出来る部分がある」


 シンはランの考えを感心して、頷いた。


「シンと俺は、初等から、中級、それから飛び級で専門課程に殆ど同期で進んだ。それから後の配属こそ違うが、15歳になり実動部隊で再び同じ職務についた。実動部隊は複数あって、1班から10班まであったらしいが、シンとも同じ実動部隊になったのは、何度目だったんだ?」

「悪い・・それは、言ってはいけない事になっている」

「そうか、なら聞かない。でも何度目かのお前は配置で、俺は2度目だった。互いにとんでも無い経験もして来たが、命を落とした者が実際は居なかったと言うのも、今のチームになってから聞いた事だし、実際何をやって来たのかについては、違う目的だったと思うんだ。だって、そうだろ?大怪我を負った部署が多かったと言うのは、今になって思えば、オオコウモリの仕業か、肉食獣に違い無い。犬、猪、・・それらはやっぱり周囲に生息する事も確認されている」

「ああ・・そうだな。実際猪にやられたと言う話も聞いている」

「だろう?衛生上養豚はやらないと言う事で、100年前にはドームには持ち込まなかった。でも、日本に生息する動物の中で、鹿もそうだが繁殖力の強い動物であり、食する習慣もあったと言う。恐らく、飼われていた豚が逃げ出し、野生化したと言う話もある。これに生物班が狙いをつけていると言う話なんだ」

「俺達が実動班で活動している中で、雑菌やウイルス、寄生虫等が調査対象だから分析班も一緒にやっていると言う事は聞いている。でもさ、ラン、そんな食の事情も勿論大事なものだけどさ、それよりもっともっと実動し、探索を急ぐ必要性があるとは思わないか?」

「ん・・?どれは、どう言う事だ?」


 ランが首を傾げる。確かに有益な事をランは言っているし、目的上それは一つとして入っているだろう。シンの問いかけにランは答えを出す事は出来なかった。シンは、ランについては、これまで同様に色んな話をするが、密命を与えられては居ないのだと、ここではそれで話を切ったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ