第7章 宇宙へ・・
「あ・・いや・・確かに何の成果も無いと自己判断した事は認める。だが、報告と言うより俺達斑は、360度方位カメラで常に動くたびに、それこそ自動的に本部に画像は送られている筈。そこに私見など入る余地はないじゃないか」
「それはそうです。だが、ただ現地を見る・・その事だけに終始していたようですね。ここまでR国、北極海、アリューシャン列島、千島列島、樺太、そしてグリーンランド、今はアラスカです。その凍土のサンプルはいかがですか?採取して送りましたか?」
「いや・・そんなものは」
「そこっすよ、マコト兄」
ダンが指摘すると、驚いた顔のマコト隊長とアマン副長だった。
「土地によって、大地震後、地球的大変動の痕跡こそ、その凍土及び、氷や、地下通信路に対しても、そこが凍結し通行不可だと言う事よりも、その周辺のサンプルを何故採取しなかったのですか?俺達は実働班とは言え、れっきとした科学者の一員です。アマン副長もその学者畑、研究畑を歩んで来られたのに、そこを見逃すのかと言うシン首班のがっかりっすよ、だから、帰還命令まで出そうと言う事になる。今からでも遅く無いっすから、ポイントの位置伝達と共に、そのサンプルを至急送って下さい。そして、一端サンプルと共に、中京のシン首班の居る本部にお戻りください。よろしいですね?アラスカの表土、地下通信路、そして、ある程度のポイントはそちらでご判断下さい」
「わ・・分かった」
マコト隊長は少し項垂れながら、そのダンの指示にすぐ従うべき行動を開始するのであった。
「ダン・・済まなかったな、補足役をさせちまって・・」
シンがダンの傍に居た。
「はは・・でも、何の為に凍える寒さの中で、頑張って来たのか、全て無駄な冒険に思えちまうよな、明確な指標と言うか、足元を忘れているんだもんなあ」
「俺も悪いのさ、明確な指示などを出さなかった。むしろ、自由に探索してくださいと言う言葉が、冒険のように聞こえちまったのかも知れない。マコト兄は、お腹の中が全部すけすけで見える純粋な人だもんなあ・・筋力を鍛え、冒険に向かうチャレンジャーのような方向に行っちまっている。この人材難に、遊びで派遣なんて誰も命令をしてなんかいないさ、そこに派遣され、ただ遠方に来て過酷な環境の中で自分は頑張っているんだと言うだけの任務になっていたからなあ・・」
シンが溜息をつくのだった。




