第7章 宇宙へ・・
「自分の眼で見た訳じゃねえからさ、まあ、今コウタとランがやっているBR方式だと、リンが体験した感じでは3種で、総数も50頭程度だったようだ。あの通信路が一番広く、そして生息地にも近かった。それで灯りに誘われて現れたんだな、つまりこっちは耳も眼も正常だって事だ」
「そうだな、ただ、あの空間では、ほぼ食性ピラミッドは出来上がっていて飽和状態。卵もあったものの、無精卵だったようだ。従って有精卵は未だに発見出来ていない」
「胎生って事もあるのでは?」
「卵があったんだから、胎生の訳がねえだろ」
「あ・・そうか」
「サンプルが取れねえからな、そこの繁殖と言う部分では分析出来るものは無い。難しいなあ「」
「まあ・・何かで生まれなきゃ、そこに生息出来る筈も無しだ。ただ、小さい個体は居たが別種だ。これは捕食対象になるんだろうな、恐らく」
「でも、こっちも卵も子も確認出来ていないって事だ。まあ、すぐには分かる筈も無い、時間を掛けて観測機が自動撮影画像を送ってくるからな、そこから先は結果だからな」
ダンが言うと、シンは頷きながら、
「で・・本題に入る。未だにM国中枢部の場所が分からないって事だ。どう思う?」
「ふむ・・勿論、こっちの話になると思っていたが、話題が塩田から振られたからな、俺はむしろ、そっちに関連があると思っているのさ」
「塩田がか?厚い、薄いはあるだろうが、厚みが1キロもあるような規模だぞ?」
シンが首を傾げる。
「だからさ・・この深さまで潜っちまえば、地上でドンパチが起こっても殆ど影響も受けない。天然のミネラルを多く含むから、ここでは様々な物質を取り出す事も可能だ。俺が思っていたのは、その質なんだよ。だから分析をした」
「そうか・・その分析結果は?」
「驚く程多種の鉱物・ミネラル・栄養分が含まれていた。中でも興味を持ったのはファイトケミカルなんだよな」
「ファイトケミカル?何だ?それは」
「まあ、和良博士は知っていただろうと思うし、恐らく利用もしたんだろう。つまり体の中で良い作用をするものだ。健康を維持する為のもので、アンチシアニン類、イソフラボン類から・・3つの主要成分・・ポリフェノール(フラボノイド系)、カロテノイド、鉱物的な含硫化物のイソチオシアネート系など殆ど全てを含むと言う事だ」
「ふうん・・それってじゃあ、免疫系の強化とか」
「おろ・・やっぱり鋭いな、シンは。そうだよ。だから日本がM国と手を結んだ理由がそこに出て来る。M国は科学力に優れ、決まった事はきちんとこなし、裏切らない日本だからこそ、手を結んだんだよ。周辺のR国、T国、I国とは全く相容れないからな」




