第6章 思わぬ事態
「ふ・・お前達が話し合ってい事は全部知っている。しかしな、コウタは実働班のメンバーじゃない。まだまだ何があるのか分からない宇宙には、許可は出せないよ。お前、月で色々見て来てどう思った?勿論、何度も行きたいと思っただろうし、確かにA国の基地のスタッフは全員が絶命もしていた。有用な器具もあるのだろうが、それこそ、アームがあれば、回収も可能だ。お前はそっちを考えるべきだろ?そこで、第14班全員に告げる。俺達のミッションは、このAポイントで情報収集をまず行う。そして、ある程度の結果を見てから帰る事にする」
「ええっ!」
これにも突然のシンの言葉に。この場が一瞬凍った。何の為にここまで周到な準備をして来て、先ほどまで探索作業をして来たと言うのだ・・と。
「驚いているな?まあ、それは当然さ。でもさ、色々俺も考えた。その時間が必要だったと正直に言うよ。お前達も始め本部の連中も、本当にきめ細かく俺達をサポートもしてくれた。大きな発見があった。それは、もう成果としては十分だ。だから、ここまでで良い。小型MSI機がどうにか間に合ったし、草食恐竜には有効で無かったものの、肉食恐竜には有効だった。だから、危険な探索はひとまず置いといて、今ランにも全く無関係な話題を振ったようだが、全ては繋がっている事なんだ。俺達は、科学を否定できない。何故なら人の叡智とは、例え黒歴史であったとしてもそこまでの蓄積だ。失敗の中から学んで来て積み上げて来たものだ。俺達が、今生きて居られるのはその恩恵があるからじゃないか、それを忘れてはならない」
「じゃあ・・じゃあさ、何の為に、こうやって大蛇を捕獲したり恐竜に出会ったり、また危険かもしれない結果的に草食恐竜の通信路に進んだんだ?」
ランは食い下がる。少しころころ変化するシンの言動に、余りにも朝令暮改では無いかと言いたいようだ。
「そうじゃない。進む事は、今後の予想にも繋がる。事実草食恐竜の棲息する自然ゆかりの空間があった。何事も全ては俺達は進むべきものだと考えた」
「その間に時間稼ぎかよ?小型MSI機の到着を待った?それに超音波制御の機器搭載と、小型MSI機をコントロール出来るように開発もしていたと言う事になる。たった数日の事で、余りにも手際が良く無いか?」
「ラン・・お前はシンに不満をぶつけているのかよ、それは」
リンが少し血相を変えた。




