第6章 思わぬ事態
「我が目でしっかり見ようぜ。だが、銃は持っておけ、草食恐竜は相当でかい。踏みつぶされたり、絶対に襲われないと言う確約もないからな、危ないと思えば、叫べ。ランが残ってそれを見張ってくれ」
「おう・・」
やはり、危険だと言う認識は捨ててはならないのだ。ここで再びぴっと引き締まった。この何と言うか、微妙な間とかタイミングは、シンしか演出が出来ないだろう。
「じゃ、俺が先に降りる」
納得したように、ダンが一番に降りた。ここは副首班として第14班の№2として模範を見せねばならないのだ。それと、ダンは既に手に何かを握っていた。
「ん?何を持っているんだろうな」
次に続いたケンが、ダンの手にある物に気づいたが、問う事は無かった。ここで問うよりも、ダンの所作を見れば分る事だ。それぞれメンバーには背負いのリュックがあって、自分の道具を数個何時も入れて持ち歩いている。リンは思った、シンはここで、何かを待っているのではと・・そのリンも、最後にやはり手に何かを持っているシンの後、つまり最後にMSI機から降りた。空気は何か心地良さを感じた。やや薄暗いものの、ここには光ケーブルの灯りは必要が無い。リンが降りると、ランは自動操縦を手に持った。彼らも勿論携帯しているが、勿論危ういと思えば援護射撃をするつもりだ。とにかく瞬間の判断が要求されるのだ、躊躇すれば命は当然無い。今までも何十回も繰り返し言うが、彼らは常にそう言う緊張感のある場面に常に臨場して来たのだ。
めいめいが思う場所に移動して、何かを熱心に見つめたり、撮影したり、動画を撮ったり、また手袋をしてゼニゴケを採取したり・・ランはその一瞬も油断はしていなかった。彼ら4人の画像は全てスクリーンに映し出される。そのランに伝言が入った。
「ラン・・緊張しているな、俺達もバックアップしているから、少し安心しろ」
「何・・バックアップだあ?アホか、日本に居てどうしてバックアップが出来るんだよ」
ランは前方と画面を見つめたままで、その伝言に返答した。
「ふふ・・間に合ったかなと思う。でも、割とこれは簡単に製造出来たとケンシン部長は言っていた」
「な・・に」
ランはやはり前方と画面を見つめたままで、気を散らすなと言いたい程不機嫌で、ぶすっとした表情で答えた。




