第6章 思わぬ事態
「ああ・・もう何をやるのか全く無法図な国になっていた。もともとそう言う国ではあろうが、多民族国家なんだし、一つの思想で縛られる国では無い。色んな思想がこの時には入り乱れ、先にやったものが勝ちなんだと言うような主義に陥っていたし、極端な人口減でもあったからね。そこで、生誕180年の年まで居る事になったと思われる。身辺警護も厳しく、恐らく自身の研究による遺伝子工学分野なんだろうな、それは」
「それがT国猿人か・・」
「ああ・・見かけ上の推定年齢は、70歳前後じゃないかな。その辺はテロメア・ヘイフリック以外にも若返り施術と言う事も可能だからな、日本でもやっていたように」
「そこも理解する。そして、もうその頃には日本の地下掘削は、相当進んで居た筈だよな?」
「ああ・・そこで、地下通信路網は相当のスピードで、日本は地下資源も確保し、進んでいた。和良司令官の論文によって、日本で開発が進んでいたんだ。或いは何等かの手段で、その情報を日本に流していたのかも知れない」
「そこは絡んでこなきゃおかしいよな、じゃあ、逆に拉致された事で、このT国を潰す事を考えていたのかなと思う。あ・・ここも推察だ」
「そこも良いよ、じゃあ対馬ルートは早くから?」
「それも恐らくK国に渡ったのは、日本に向けての地下通信路掘削を提唱したんじゃ無いのかな、推察ばかりになっちまうけど、K国の掘った通信路は、悉く地球変動で潰れている。しかし、当時行き来として利用されて、逆に日本のもっと高い技術の地下通信路は、今ある中で最も古い旧式のものではあるが残っているから、その中で修復されたと見れば工期も短くて済むよね。もうK国なんて真っ先に消滅した国なんだから、敢えてここに渡る目的とは目先が効く和良司令官にしては、そこしか無かったのではと思うからさ」
「推論ばっかりで見事に組み立ててやがる。そこでT国のやはり天才5博士を自分側に染めてしまう訳だ。ここで確かに繋がるよな。で、大地震も予測していたから、積極的にドームの建設にも関わるが、ここで日本に渡したような頑丈な構造とは少し変えて破壊されるように画策したと?」
「あはは・・強引な推論だよ。でも、日本にこの先渡った時には何重にも強化をされているから、その時には、想定外の地震だった訳だよ、だってT国には自分の手先となる5人の最優秀な博士がその時には自分の弟子、教え子として居るんだから、これを潰さなくても良いだろう?」
「あ・・そうだな、で・・ここまでの推移では、やはり通信網・・光ケーブルの前身がそこにあったから、かなりの情報や、自分の足場とする対馬研究所もそこで、ほぼ原型が出来上がり、地下通信路を通り、忽然とT国から消える。そこで第2回目の手術だな?」
「そうなるよね、そうならなければ、和良家の孫として再び日本で頭角を現す事は出来ない。そしてその道も必然的に開かれて来る訳だ。だって、第一人者なんだからね、そこは」
「ああ・・それで相当な時系列的に繋がったよ、だが?M国は繋がらなかったなあ」
「そうだ・・今の話の中では繋がらないし、M国通信路はR国経由の北海道ルートだ。だけど、日本の鎖国政策とはかなり繋がると思わないか?鎖国政策に踏み切った影には、その国を牛耳ろうとする裏の影響力を持つ者の存在があった。それこそ、和良司令官じゃないのかい?」




