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シンカラス  作者: 白木克之
106/1722

基地

「うん・・その為に行動していると言って来ているし、その通りだ。又、この免疫強化注射は野外活動をする諸君と、今回監視塔で作業する全員にも行われている。この免疫強化注射の事を言わなかったのは、上からの指示だった。更にオオコウモリ用に開発された等と言えば、益々不信感も湧くだろうしね」

「そうなんだ・・生体武器を開発すると同時に、自分達の安全策も同時進行で、それも何重にも考えられた・・」

「うん・・そう言う事だ。事なのだろうね・・我々が誕生するずっと前の話でだから、資料でそう言わざるを得ないが」


 嘘は全く無いようだし、そこで秘匿しても、何の意味も無いとシンも思った。ただ、少し先の言葉を彼は待った。そんな話を、シンの横でランは真剣に聞いている。共にこの特任の指名が入った時に喜んだ二人だが、シンはランの知らない所で行動を開始しているのだった。


「この話をする主旨とは、やはり一番危険な作業を行うこの実動班の安全と、無菌室状態で維持して来たこの100年間のドーム内生活を脅かすものであってはならないという事だ。つまり、同意義で納得頂きたいのだよ」


 そこも理解出来る。公開したと言うのはそう言う意味なんだと理解した。


「さて、納得して貰ったとは100パーセント思っていないし、この私自身もそうなんだから説得力もないよね、ふふふ」


 あはは・・軽い笑いが起きた。このシリマツの弁論は、やはり優れているとシンは思った。実際彼らも野外活動をしている事を公開し、共に危険な調査を行っているのだと言う同じ目線の言葉だったから、チームにも言葉がよく伝わっていた。シリマツは言う。


「これもここまでの結果論だが、シン君の大葉は非常に有効だと言う事で、その大葉を密集している、やはり第4監視塔をこれからの作業メインとして、他は封鎖する。封鎖と言っても、監視は当然続けるが、これからは内部コーティングを強化し、監視窓だけを巡回観察する事とする。変わらず、化学班、分析班、生物班を増員に任にあたって頂く事になる。それぞれの班長がそのシフトを決めるから、これから作業班は、昼間だけの作業となり、夜間の宿直はなくなる」


 少し、ほっとしたような感覚だった。人間は暗い夜間の作業は危険もあるし、動き辛い、まして殆ど装備も乏しい実動班にとって、昼間の方が動きやすいに決まっているからだ。シリマツ官吏はまだ続ける。このミーティングの重要さを認識出来る者は、何故こんなに細切れになっているが、頻繁に行うかの理由も理解しなければならないのだ。時間をかけてもやる。それも性急にでは無く、確実にだ。オオコウモリの怖さは改めて思った。この脅威を実感する事により、慎重にと言う言葉が生きて来るのだ。限られたメンバーで、選ばれた他10名だからこそやれると言う自信も持って行くべきだ。彼らがようやく100年後の世界のドームの外で、作業を行うのだから。そして、地下に備蓄倉庫がある事も、食糧保管庫がある事も披露された。その事の意味は、次の説明ですぐに分かった。


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