第6章 思わぬ事態
「俺の想像の域を超えては居ないが、恐らく日本とM国は、この地底エリアをずっと以前に発見していたから、ここを保存する為に通信路を作ったのでは無いかと思った」
「もともとあったと言うエリア説だな?人為的では無く、自然に確かにこの地形を見れば分かるが、地下は気温も安定していて、火山も無いM国には広大な土地もある。地下都市計画があった事は容易に読み取れる。で?」
「やっぱり、想像出来る先は、今も言ったように原種のDNA、遺伝子を抽出し、それを原人類まで戻す事にあると思う。これは和良司令官とは全く方向性が違うのでは無いかなと」
「まあ、そんな事は本人も居ねえからな、判別出来る事じゃない。が、何となくお前の考えている方向性と言うのは分かった。成程、そう言う滅亡への危惧は、どの国でもあったと言う事だ。それを領土争い、派遣争いでぴりぴりと各国間が緊張し、その為だけに政府中枢の業務を費やす事に煩わしくなった地球よりも、宇宙に求める方向性もあるんだろうな」
シンが言うと、ランが、
「そこ・・俺はそう思っているのさ、強くな」
「ランの考えも分かった。ふうん、皆もその辺は色々考えているんだなあ、でもさ、こう思えないか?この場所って、いきなり出現する筈も無し、ずっと秘匿されて来たM国にとって活動拠点を地下にすべく、様々な工夫も凝らしたんだろうな、螺旋状通信路なんてどんな発想かと思っていたが、ここにも重要な視点がありそうだ」
「だから、探索するんだろ?」
ダンが言うが、シンは首を振る。
「だから、今じゃない。俺達は主要システム本部を探す目的で、それを目指してここに来た。だから主題がそこにある」
「何を言っているんだよ、その為に今があるのでは?」
「今があるから待てと言っている。ここで時間を要する事が、お前は目的とずれると言いたいのか?ダン」
珍しい口論のような感じになった。
「いや、そうじゃないし、ここに居る事を否定はしていない。だが、俺が言う事をもう少し言わせて貰えれば、つまり猿人とは、原人では無いか・・人間の先祖を基本としているんじゃ無いかと考えた。だったら、それこそ何でもかんでも和良司令官に繋げるなと言うだろうが、またそこに関連する話になっちまうんだ」
「ふうん・・ここの施設及びM国システムに和良司令官が関連か・・年齢が推定300歳と思えば、そこに違和感は無いわな、確かに整合性も出て来るが・・」
シンが言うと、ショウがここで、指摘をする。何時も口を挟まない男にしては珍しい光景だ。




