第6章 思わぬ事態
「何をきょとんとしているんだ?シン。3人は植物に詳しい。これがDNA操作されていない物であれば、3人はむしろ専門分野じゃ無いか」
「あ・・そうか・・ラン、それを採取して何かを教えてくれ」
「は?・・まあ、良いけどよ」
ランは自分の手足のように、その空間一杯に広がった苔を器用にアームを操作すると、すぐ採取。流石に手袋とマスクを装着。どんな微生物や菌が付着しているのかも知れないのだ。それは当然であろう。そして小袋に入れると観察。すぐ・・
「これはゼニゴケだな・・だが、巨大だ。このM国地下ってなにもかも巨大化するのかよ」
リンもすぐ、
「ああ・・ゼニゴケだな、ケンもどうだ?」
「間違いない」
3人は殆ど同じ見解で言う。ショウがすぐ図鑑を検索して、シン達に見せた。
「じゃあ・・この苔を草食系の恐竜は食っていると言う訳だな、これだけ密生していると言う事は適度な水分と光もあると言う事だ。ひょっとして、これはもともとM国地下にあったと言う事か・・」
「必要無かったのかも知れないな、遊牧民が暮らすM国や、まあ・・これは世界中のどこの国でもそうだが、地下の住居を選択した文化は無い。地上が殆どだ」
「それはそうだな・・おい、耳栓を一端外そうか?」
ダンが提案すると、全員が外した。コミュニケーションは勿論問題なくとれるのだが、会話的にはやはり耳から伝達の方がやりやすい。
「ふ・・目まぐるしい展開続きだな。どうする?これはBOXにでも入れて、保管しとこうか?」
ランが言うと、
「それは当然だ。一応、ランの処置は非常に正しかったと思う。その前に、折角この機械を運んでくれたMSI地下通信路用機に戻って貰おうぜ、それで本部に送る。その方が確実だ。ここでは菌類の検査は出来ないからな」
「じゃあ、ここまでもう一度呼び戻すか?表に出るのはまだNGだよな、勿論の事」
「ああ・・未知のウイルスや菌で満ちていたなら、俺達全員アウトだし、また何かに自分達が詰めて持ち帰る事もNGだからな、尤も・・何時も野外活動を行う際には、その地、その地で検査は行っている。電磁パルス爆裂は本当に細菌類やウイルスを殺したんだとは思っては居るが、地下に関してはまだまだ未知数だ、まあ、とは言っても、ランはもう野外活動を地下でやっては居るが・・」
「おい、それって大丈夫じゃないじゃんか、既に」
ケンが突っ込んだ。




