基地
確かに出入りや、これまでも定期的検診はされて来た。それは、普通やるべきものと思っても来た。そう言う理由だと今知った次第だ。
「まだ結論を出すのは早計であるとは思っているし、私としては、もっともっと調査し、それでも間違いないと言う部分までやりたかったと思っていた、今もそう言う気持ちだが、ここで・・このチームの諸君に、重大な事を申し上げざるを得なくなった」
ははあ・・シンは悟った。やはり色々上部ではまだまだ混乱が続いていて、余りにも急激な改革の波もあり、かなり色んな事をごり押しをしている部分もあるのだな・・と、しかし、遅かれ早かれ、やらねば座して死ぬのである。それは、シン達の年齢層が寿命まで生き延びられる保証などまるで無いのだ。どうせ死ぬならと、実動部隊で死のうと思っていた。しかし、希望が見えて来た事によって、シン達は生きると言う希望を持ち、やる気を出して今は行動しているのである。それは、特命を受けて居ようが居まいが、このメンバー達には同じ事だった。
「つまり、君達には、耐ウイルス抗体免疫強化注射を行っている。それは、備蓄がまだドーム内人口の300年分ある」
「注射・・確かにしたな・・でも、随分前ですが・・」
「うん、一本打てば、君達は5年間その状態が維持される。特にそう言う免疫力強化の医術が日本では相当進んでいたと思う。そして、このドームが、恐らくだが、備蓄基地でもあったのだろう」
「あの・・愚問かも知れませんが、そんなに賞味期限ではありませんが、備蓄が出来るのでしょうか?」
これはウテンが尋ねた。
「ああ・・知らないのも無理は無い。このドームには地下室がある。その地下の温度は常に14度で一定している。アルコール等が100年、200年発酵をして飲めるのと同様に、この免疫強化剤も同じ事なのだ。更に言うが、この備蓄と他に、後100年位の食糧の備蓄はあるようだ。ただ、ドーム内では、当時より野菜工場や、茸工場他、食品会社があって、そこでドーム内全員の食事に関するある程度の量は自給自足で賄えている。ただし、それも人口に比例されるから、後100年もこのままの状態で持つ保証は出来ないだろうね。だろうねと言うのは、確定的なものでは無いからだ」
「いずれにしても・・そう我々の置かれているドームの生活も、長くは無いと言う事ですね?」
シンが、そこでその言葉の先を問う。