第5章 とうとう彼らは
「それでは、機能です。動力源は割愛させて頂きます。あくまでも完成品では無いですが、約1週間は連続で稼働する筈です。バッテリーでは積み替えねばなりませんが、先に申し上げたようにパワーが足りません。またそんな事をいちいちやっていたのでは、現地で更なる危険を自ら望むようなものですからね。それでは採用になるかどうかは私も自信がありません。恐らくこの機械的なものをラン班長が一番理解されると思われるので、先に機能、操作を申し上げます。一番左の突起は、マイクロ波照射を行います。つまり電磁波発生装置と思って下さい」
「え・・電磁波?マイクロ波って・・あ・・そうか無線電力伝送・・つまりこのBOXが受電装置なんだ」
ランがすぐ悟った。
「この機械は送受電を行う為に製造しました。そして、受電装置がBOX全体にあり、四本のレールで受信し始めた所です。こちらから送電を行っておりますから、皆様にとっては、電磁波がどのような身体的影響を受けるのかもあらかじめ安全面でも検証し終わっておりますので、ご安心下さい。今行程にあった通路内に送っておりますので」
「そんな仕掛けを・・」
「さて、ラン班長、その発射装置は突起の最大部分にありますが、もし、これで行く手を阻害する何者かが出現すれば、一時的に照射時間は10秒が限度ですが、気絶させることが可能です。これは攻撃する為のものでは無い。しかし、敢えてこれを使用せざるを得ないような恐竜や大蛇など、予測不可能な生体が出現する可能性を見越して、ご用意したものです。皆様は、以前開発された耳栓をご用意ください。常にお持ちの筈ですよね、今でもオオコウモリによる脅威は、完全には解除されていないのですから、そこは第14班特有のサインでコミュニケーションをお取りください」
「そんな事まで想定していたのか」
ダンが絶句している。更にケンシン部長の説明は続く。
「今申し上げたように、私も技術力の限界ですが、左側面にはラン班長以外に乗って操縦して貰う必要が御座いますので、他に思い当たる方は居ませんでした。それの速度、ストップを微調整するのが、右の一番小さな突起のボタンです」
「ふうん・・制御装置がこれかあ・・まあ、装着する場所も無かったんだろうなあ」
ランがもう画面を見ながら、頭の中で操作法を思い浮かべていた。




