第5章 とうとう彼らは
「ところで・・国後から択捉の方へ大蛇は移動したよ、シン」
「ん?国後では手狭だったのか?」
「ああ・・手狭だった。こっちは陸続きでは無いから、海底トンネルを掘っていたんだよ、ウテン、サテンが掘削班を連れてな。それが、同時進行でお前達のミッションと共に進んでいた。知らなかっただろう?」
「はは・・初めて聞くよ、で?そこに何がある?」
シンが苦笑い。
「もともと占領されていたR国の島だ。日本も鎖国宣言をした時から、もはや不要と突っぱねて、交渉も何も遮断した。そして無言の圧力を発した。何をやるのか・・本来日本の情報は、その時代の100年前より和良式光ケーブルで代表されるように、情報が一切外国に漏れる事は無くなっていた。独自の回線で、独自システムが構築されたからだ。それがお前達のM国探索の意義でもある。そうだろう?シン」
「おっと・・・お前だけには隠せないようだ」
ダンを始めここに居るメンバーが、シンの本当の狙いが、コウタから指摘され始めて明らかになった驚きの顔が浮かぶ。
「ふ・・どこかで繋がって行くものだよ、それはな。そもそもこの光ケーブルと言うものの目的が、非常に多用途だと言う事だ。灯り、情報収集、電磁波阻害被膜、光ケーブルエレベータ・・尤もこれは世界の宇宙基地及び、妨害人工衛星や他国の破壊も、全て含め消滅した後の話だがな」
「で・・?コウタ、何が主題なんだ?」
シンが首を傾げる。
「決まっているだろ?今シン達が現地に居て、それも日本が主に開発、掘削しただろう地下最深部の地下通信路については、恐らく他国にそんな技術は無かった。と、言うか、もはや地球を離れて宇宙進出が大目標になっていたからだ。敢えて地球復活などそんなスケールで考える者が出現する等は、思いも寄らない話だっただろうし、地球的規模の数万年規模の大異変が予兆される中、また地球環境の悪化の一途を辿る中では皆無だろう。そう思わないか?」
「ああ・・思うさ」
「だから、M国と言う裏同盟国は真に重要なパートナーとして、開発をして来た。そこに日本では出来なかった様々な技術や、広大な土地を利用出来る利点もあるし、ヨーロッパ、I国、T国にも睨みを効かせる十分な立地条件だ。更に言えばR国などもはやこの時代には、長く続いた独裁体制で崩壊していたからな、ほぼT国に制圧されていた。A国とT国の戦争によって、もう地球を見捨てる国が続出したんだよ。それが核の放棄まではどうにか行ったけどな、既に遅しさ」




