基地
ほう・・防御システムがある・・?それは今も有効だと言う事なら、生体武器本来が持つ能力か、或いは電子信号を必要としないシステムなのか・・そんな事を何名かが思った。今一度言うが、このメンバーも相当高い身体的能力に加え、実動部隊を経験し、且つある種の科学・化学・物理学他、知識も豊富で学識があり、それも非常に高いと言う事だ。即ち、選抜されるだけの理由があり、このチームに加わっているのである。その中に、シンも居ると言う解釈で今は進行する。もっともっとこの先に多々な事が起き、困難な事態に遭遇し、また驚愕的な事態にも遭遇するだろう事は、想像に難く無い。
「では、活動内容だが、我々は周辺のウイルス・微生物・・主に人体に有害な菌を調べていた。ここで、何でそんな危険な実動を皆さんに押し付けて来たのか?疑問があるのは当然だ。そんな野外活動を行う事こそ、愚策・無謀であると誰もが思うだろう。実は、私がこの担当になった時より思っていた事だった」
何だと・・?チーム全員が、きょとんとする。そんな事は分かり切ったものであり、今更何を言うのかと思うだろう。シリマツは、動揺するチーム全員の顔色を確認するように少し間を置き、
「諸君のお顔を確認すると、殆どの方が、余り驚いた様子では無いようだね、私が少し逆に動揺した程だよ・・」
「あの・・」
サテンが手を挙げた。
「自分達がセメント製造の提案をした時から、つまりあれでしょ?ドームは、石灰岩地域を選び建てられている。つまり、アルカリ土壌の地だと言う事です。即ち、酸やアンモニアの影響で石灰岩が溶けると言うのは理解出来ますが、石灰岩を焼き、それを粉末に加工すれば、製鉄や、ゴム製品、肥料など土壌改良材としても使えます。又粉を融解して撒けば、これは殺菌効果があると言うのは常識として知っております。自分達は、野外に出ればその溶液で除菌しますが、殆ど強アルカリ土壌であるこの周辺には、ウイルスや危険な菌は居ないのでは無いのでしょうか?だから、そんな事は分かった上での野外活動だと思っておりましたが?」
そうだとシンも思った。誰が命の大事さをこんこんと説かれて、その上で野外活動をせよと指令が来るのだ。シリマツ程の男が、そんな事を知らぬ筈が無い。笑いを誘おうとしたのか?と言う事だ。
「ふ・・ふふふ。その顔だったのか・・しかし、それは承知の上で、日本政府が、もしオオコウモリのウイルス、寄生虫の危険を承知で対策を怠っていたとは思わないが、しかし、今言う他国の生体武器がもたらす危険性は思わなかったか?」




