第5章 とうとう彼らは
「ダン・・お前も生体学の専門家だ。その意見は俺も同調する」
「ほう・・・」
ケン達の眼が輝いた。
「ただし、画像を見ただけの判断。そこで結論を導ける話じゃない。大蛇の分析も行わなきゃいけないんだからな、危なかった場面もあったり、帰路もどうにか危機を乗り越えたが、相当無茶なミッションだったよな。どっちに転んでもおかしく無かった。そっちの恐竜もどきも同じだ」
「もどきってさ・・はは・・でも、今の私見はそうなるわな」
ダンも苦笑い。
「とくかくさ・・はらはらするんだよ、今回幾ら綿密に計画を練って、準備していても、こんな予期せぬ事が続々と起きて来る。お前達は平気な顔をこうやって見せているが、違うだろ?その辺の反省とか、今こうやって俺にコンタクトを取っているタイミングって、その本旨は何なの?」
「おっと・・結構きつい事を言われちまった・・だが、それは本当にそうだもんなあ・・コウタ、お前さ、聞くけど永久凍土の中に閉じ込められていたウイルスって無数に居たと思うんだよな」
「おっとっと・・また予期しない質問が入っちまった。シンはやっぱり読めないや。マコト隊長が今頃報告したマンモスの事かよ」
「そうだ・・ツンドラ・・永久凍土、南極、北極に閉じ込められていた未知のウイルスが温暖化によって、地球上に蔓延し、その為に世界的大流行が起こり、中でも世界大戦時に使用されたと言う炭疽病の事も気になった」
「ううむ・・資料も何もない状態で、何て言う事を聞いてくるんだよ。でも、シン、お前は俺がそっちのウイルス、細菌について詳しい事を勿論承知で言っているんだよな?殆ど他の者にもそっち方面の話をした事も無かったのに・・」
「ははは・・おい、コウタ。シンはこう言う奴なんだって、お前が一番知っているだろ?何時聞くの?って今だよ、今だから聞いているんだ。俺達は、恐竜の他にアルプス山脈の氷河から溶けだした細菌とかウイルスに対して、無防備で来た。だから今はMSI地下通信路用機から降りる事は出来ない。だけど、探索はこのまま中途半端で終える訳にはいかないだろうが?」
ダンが畳みかけるように言う。




