第5章 とうとう彼らは
「おっと・・やっぱりスルーすると思っていたが、つまり原種回帰のような、進化じゃなく退化してしまった・・仮に人間達が本来持っていなければならなかった第六感的なもの・・それを求めていたとしたら・・俺、途方も無い話を一気にくっつけようとしているよ、それは勘弁な」
「だから・・俺が聞くって言って、今お前が喋っているんだ。そこに何の制約もあるもんかよ。だって、俺達がそのサヴァン症候群だって言われたって別に驚きゃしない。皆とは多少そう言う個人差と言うか能力の違いがあって、記憶力の事を言っていたが、コウタだって、ダンだって相当高いぜ?ショウ・・お前も、この第14班全員がな。そこの多少・大小・強弱の話をしたってピンと来ねえよ。でも、お前は原種?太古?回帰?今、面白い事を言ったぞ。なら、日本が化石の多くあるM国地下でそう言うDNAの研究をしていたって、全然おかしくねえよ。俺達は見て来たんだからな、ここまで。それなら、この異様な巨体の生物の出現もなんとなく分る気がするよ」
「そうか・・ショウの話がサヴァン症候群から入るから、俺がもし聞いていたら切れていたぜ、やっぱり、ふふふ」
ダンが笑った。
「な・・何でだよ・・それが太古回帰に繋がるかも知れないと言う自分なりの想定だろ?」
「だから、ショウ・・お前は話術が下手なんだ。そう言う時は、もうずばっと言っちまえ。学者の兄妹を持って居るから、妙に説明くさいんだよ。ダンは、自分の中で飲み込んでから話を始めるタイプだからよ」
「はぁ・・お前もめんどくせえ奴だなあ、ダン」
「アホか!お前が一番今重要な部分を言っちまったんだぜ。ただ、状況を考えてから言えって。お前はその恐竜に襲われながら、こいつはこう言う敵なんだって説明しながら逃げるのか?それとも向かうのか?そんな悠長な話じゃないって言うんだ。リンのように、脈路も無く、じゃあ4時の方向に行こうってか・・それもどうかと思うがな」
「こら!俺に振って来るんじゃねえよ。だから、次にどうするって考えているからこそ意見を出したんだろ・・・あ・そうか、ダンに俺はアイコンタクトをしなかったからな、はは、やっかんでいるんだな?」
「何を!」
「おいおい・・お前ら、それこそ時と状況を全く分かっていないやりとりだろ?これがショウ、サヴァン症候群ってやつだよ。こいつら、思考がもう飛びすぎちまっているんだからな、はははは」
ケンとランが笑った。お前らこそ笑えねえだろと言いながら、彼らはしっかりともう4時の方向の地下通信路に、舵を取っているのであった。彼らは、もう何をすべきかなんて、互いに言葉上でけなしたり、牽制し合う中でちゃんと分かっていたのだ。そのショウの言葉が出る前に、何となくではあるが、そう言う事があってもおかしくないと思っていた。だって、大蛇が居た段階からそこまでの事が想像できない彼らでは無いからだ。その上で捕獲と言うとんでも無い作戦を計画したのである。
「今どうにか国後についたよ」
マコト隊長から連絡が入った。




