第5章 とうとう彼らは
「電磁パルス爆裂によって地球上の殆どの生命体が絶滅したと言うのに、とっくのとっくに滅んで化石になっている太古の恐竜が生きている?まさか・・だが、どう見ても8時の方向のやつはそのように見えるわなあ・・」
ケンが絶句している。2種の生体は或る意味理解も出来るが、ここへ来て、ショウの提案と行動が自分達を救った形となったが、衝撃的な出来事に、シンですらなかなかこの状況を理解出来ないでいた。
どうにか、4時の方向にも蓋をする事で、壁に近寄りこちらを睥睨している巨大な生物とにらめっこである。ランがこの時言った。
「ふうむ・・恐竜らしき生体として・・彼らは2種の生体と違って、明らかに眼を持っているから、灯りの無い所で生きて来た訳じゃないよな?恐らくこの空間に灯りが灯った事で、光を頼りに寄って来たんだ」
「それは、ラン、お前の言う通りだが?つまり、8時と11時の方角には灯りのある空間・・また大きなスペースがあると言う事になる。だが・・ここは地下だ。地上から3キロも低い地底なんだぞ・・そこに、こんな大きな生体を養う樹木や環境があると言う事になる」
ダンが冷静に答えた。それには異は全くなかった。
「あるんだろうなあ、間違いなく。あんな大蛇も居たんだから、地底湖もあるだろうし、水があって、光が差し込めば、植物も育つ。何より電磁パルス爆裂の影響を受けていないと言う事は、この通信路が構築後何年経つのかは分からないが、200年位仮にあったとして、十分に植物も生物も育つわな。世代交代もしているだろうし」
「全部でかいんだよな、最も恐竜だったとしたら、もともとでかいと言うイメージだからな」
「ふ・・何をぶつぶつと・・」
ケンが言うのをリンが笑った。
「言うのは、なんとなく分るがな、結構執念深いようだぞ、こちらを見て壁を押している。大丈夫だろうな、強度は」
「無理そうなら、もう一枚貼り付けるさ・・かなりの巨体のようだが、通信路の天井高さは10M程度。今の姿なら太古の恐竜にしたら、大きい部類じゃないと思うがな・・頭から推定して、約7M程度か」
「十分でかいじゃねえか、そりゃあ、大蛇の20Mには及ばないけどさ。でも、あっちは胴回りが直径1Mだからさ、この生体は何トンあるのかな、推定だけど」
「そうだなあ、天井まで隙間があるから5Mで、長さは7M位・・推定3トンと言う所かなあ」




