新章4 思いもかけぬ存在
「シン・・言う事は尤もだ。だが、この場合のマコト隊長の行動を責めるのか?もし責めたとしたら、即ち、お前にその任命権が間違いだったと、指摘がUターンして戻って来るぞ?」
ダンがそこで言うと、ケンもリンもランもショウもであるが、
「そりゃあ、無い。全くシンに落ち度は無いだろう、ダン」
「ああ、無いさ。この件は、蛮勇と無謀は慎めと言う教訓だ。また、今から奥地の探索に行くのに、お前は気を引き締める目的もあったんだよな?シン」
「あ・・ふふ。そうか・・良く分かった。俺は、確かに急に動き出したから、マコト兄が無茶をやったんじゃないかと思っていた。でも、ケン・・俺達だって逆だったら、やっていたかも知れねえなあ」
「おう・・つまりはシン、そう言う事だ。お前だって、ダンと組んでたら、やっていたかも知れねえぞ、だから不問にしとけ。ただし、やっぱり組織は組織だ、マコト班はそんな事を続けていたら、命を落としかねない。マコト兄は真っ直ぐだ。やんわりと言っておけ、全て終わった後でな・・って、でも・・終わるのかな? これは」
はははは・・ランが先頭に笑った。彼らは、そう大差の無い思考力をその場でしたかも知れないのだ。ここは責めるべきでは無いとシンも思い直した。それに、皆には言っていないが、霊感に近いものがあるカンジを同行させたのも、そのもしやの為では無いか。それが黙って従ったと言う事は、ある程度カンジにも結末が見えていたと言う事になる。
だが、その事はカンジが国後に向かうゆっくりとした帰路にて、マコト隊長にこう言っている。
「マコトさん、俺はシン達のように馴れ馴れしくマコト兄とは自分自身で呼べないけど、今回、結果的に止まった大蛇を動かし、こうやって頑丈なラッピング円柱に入れて日本に向かっていますが、道中何があるかはまだ予断を許さないと思うんすよ」
「あ・・ああ、そうだな。何かほっとしたと言うか自分でもずっと緊張状態で、何で俺があんな判断を下したのかも良く覚えていないんだ。本来やっちゃいけない事だったのかも」
「ふ・・それがマコトさんっす。いちかばちかの賭けでしたもんね、大蛇の動きがもう少し早かったら、俺達は鹿と一緒にぱっくんされていましたよ」
「後で・・シンに詫びとく。俺さあ、カンジ。シン達と一緒に行動していると、高揚する自分が居るんだ。常に冷静沈着なダンが傍に居て、一騎当千の仲間がいる。シンは熱い奴なんだけど、とても先読みが出来る策士でもある。何時か、シンのようにやれたらなと思って、この1年自分の体も鍛えて来たし、マコト班も創生され、メンバーも俺自身が試験をして加えた。北海の海や極寒の地で探索を繰り返したのも、実践による勘と言うのかな、お前は何か普通の者と違う感覚を持っているだろう?違うか?」
「え・・俺、そんな事は一回も」




