新章4 思いもかけぬ存在
「お・・急に大蛇が前進し始めたぞ」
ケンとリン、そしてシンとダンが同時に放った言葉だ。そして、その仕掛けはマコト隊長の思い付きであろうとは・・。鹿は、一端大蛇の方向に放たれた。しかし、大蛇の3M手前で急停止、大蛇のその時の反応は、すさまじく早く、かっと口を開けてまさしくぱくんの状態だった。しかし、鹿はそこでかろうじて反転、またマコト隊長とカンジの方向に逃げて来た。今、鹿の後をマコト隊長とカンジが全速力で走り逃げている所だ。ケンとリンは、その大蛇の後ろを、後部壁を操作しながら着いて行っている。
「リン・・もう追い込む位置まで近い、俺達は横の道に」
「あ・・そうだな、俺達まで追い込まれちまう」
2人は気が付き、横道に・・後壁とはそのままズバリのMSI飛機がそのまま通信路に収まる大きさの壁が自動操舵・・この場合は、ケンが持つコントローラによって動いていると言う事だ。そして追い込んだ後は、強力な瞬間接着剤で周囲を固定する。勿論これは完全に地下通信路を封じてしまっては、これから使用すべき大事な壁だから、今度は逆方向に盾にして進む計画である事をここで明かした。つまりこの瞬間接着剤は非常に強力だが、外せると言うものであった。
「何か・・変だな・・この速度は、鹿が逃げて走っているのを蛇が追いかけている?」
シンが気づいた。
「何らかのトラブルでもあったのかな」
「いや・・マコト隊長が、一端蛇が止まっただろ?だから、動いている餌ならどうだと鹿を放したのかも知れないぞ」
「そんな・・打合せと違うじゃないか・・なら、非常に危険な事だぞ、それは」
ダンの顔色が変わった。
「現地の判断は、その時々で違う・・けど、これは命がけの冒険かも知れない。カンジはマコト兄を信じているから、恐らく従ったんだろう。ダン、このミッションなんて誰も先が読めないんだ。相手は未知の大蛇、まして捕獲するなんてとんでも無い計画だしな。俺達はメンバーの無事を祈るしかない」
「おいおい・・命令を下した本人が言う言葉じゃねえぞ」




