新章4 思いもかけぬ存在
「ケン達が大蛇に仕掛けた・・ゆっくり大蛇が仕掛けの方に向かって来る」
シンが画面を見ながら言うと、ダンも
「今の所は思った通りだ。大蛇は見た事も恐らくないだろうが、鹿を餌として認識している」
「あの、舌が全てを把握するらしいぜ。相当敏感なセンサーらしい。蛇にとっては昼夜はむしろ関係無いもんな、これだけの巨体であれば、きっと維持できる何か食料もあるんだろうが、今はそれを調べる事は出来ないし、恐らくこの1匹だけでは無いと思うしな」
「おいおい・・嫌な事を言いやがる。あ・・でも、その為に背後を封鎖した訳だ」
「今更・・そんな事、とっくに俺達は知っているけどな、ダンともあろう者が、言わなくても分かっていると思っていたが」
「いやいや・・だって、それは食料が、例えば地底湖、地下通信路に豊富にある前提だろう?少なくても、話を今この時に蒸し返すようだけど、確かに大地震、地殻変動、極めつけは、耳にタコが出来る程聞いて来たし言っても来たが、もし生き残っても電磁パルス爆裂によって地上は生命はおろか、微生物、脆い岩石、建物すら粉砕されたんだろうが。その中で、地下都市や、このように地下通信路が残っているのも地下深くまでは今まで探索もしなかったし、必然性もすぐに無かったものの、その情報も無かった。カンジが以前からコウタ班に加入になっている事もあったが、地震波によって明らかになったから、こうやって・・」
「そうだよ、それで俺達も確認をして来た。少ない情報からさ。・・今までもそうだけど、何度も情報を切り貼りして、それを繋げて来た。幸いにもショウが非常に几帳面で、そのPC上で分析も行えるソフトも開発した、それにはランも、お前も手伝っているじゃんか。俺達は無いものねだりをするんじゃなくて、ある物で有効にそれを利用して来た」
「じゃあ、その中で食料があると言う明確なものが出て来たと言うんだな?じゃなきゃ、こんな大蛇が何匹も居て見ろ・・とんでも無い事さ」
「ふ・・だから捕獲して、調べるんじゃん、単に邪魔だから排除しようって言うんなら、とてもシンプルだろうがな」
「ふう・・そりゃ、そうだ。どう言う目的で、それも日本政府が多大に関与していたと言う証左をまずは、確定した後の話か・・」
シンは、ここでにやりと笑った。ダンがその先をもう言ったからだ。彼らはこの緊張感の漂う中で、たわいも無い雑談の中から、互いに戦略を組み立てているのである。自分がどう動くのかも明確に彼らは掴もうとしているのだ。
「止まった・・大蛇が・」
こっちでは、ケンとリンが緊張に包まれていた。もし、この巨体で方向転換をし、進行方向と逆に向かって来たら、果たして後部の防御壁が耐え得るかと言うのも心配だ。それは当然、誰も検証をした事も無いのだから・・。




