選出の理由
「そう、君が選ばれた理由もこれに関係している。」
「前に君が選ばれた理由を知らないと言ったね。あれは嘘だ。」
「嘘?」
「ああ、あの時はまだ君は部外者だったから、本当のことを言えなかったんだ。」
俺が選ばれた理由と魔術師が血筋を大切にしていることは関係している。
俺の家系に魔術師がいたということは聞いたことがないから、俺は血筋に含まれないはずだ。
だから、ごく普通のなんの変哲もない一般人が次世代の魔術師として選ばれるはずがない。
しかし選ばれている。
明らかに矛盾している。
「矛盾している、と思っているかな?」
「ああ、俺の家系は魔術師じゃあない。なのにどうして俺が選ばれたのか、それを聞きたい。」
「どうしてだと思う?」
「...」
キムラは「魔術師には血筋が大切」であるといった。
だが、俺は一般人...いやまてよ、それは思い込みかもしれない。
親のどちらかが血筋であった可能性もある。
何らかの理由があってそれを俺に隠していたとしたら...。
今となってはもう聞く術はないが。
「俺も魔術師の血を引いているということか?」
「ぶっぶー。残念君は生まれついての一般人さ。」
頭の中でキムラの「ぶっぶー」がこだまする。
ダンディな口から発せられた幼稚なことば。
「ギャップ萎えとはこのことか!」
「いやん。萌えるだなんてキムちゃん感激。」
「萌えるだなんて言ってねえよ。さりげなくオカマっぽく話すのもやめろ、ただでさえマッチョ×ショタボイスだなんてわけわからん属性持ってるのにこれいじょうややこしくするな。」
「えーでもマッチョでオカマって定番じゃない?」
「それはそうだが...やめてくれ。」
それなりに真剣な話していたはずなんだがどうしてこうなった。
あの筋肉のせい、いや変に突っ込みをいれた俺も悪いか。
「じゃあなんだってんだ、俺が選ばれた理由は。」
「二つある」とキムラは再び落ち着いた顔で話し始めた。
「従来の血筋に頼った才能の開発。その理論的な限界が見つかったのが十年前。
「同時期に魔術師の血筋でなくても稀に―といっても百人に一人くらいなのだけれど―その才能を持つ一般人がいることが分かった。
「驚くべきことに、そのなかには現役の魔術師を遥かに凌駕する才能を持つものがいた。
「君はその一人だということ。これが一つ目。
「二つ目に従来の魔術の限界だ。体系化された従来の魔術には限界があった。
「そこでボクたちは魔術師ひとりひとりが自分に適した魔術を修めることでその限界を突破しようとした。
「魔術は複数の構成素から成り立っているんだ。
「ボクたちの開発したrevocsIDによって君は少なくとも一つの構成素について異常な能力を持っていることが分かっている。
「これが二つ目の理由だよ。
「君は魔術の才能と技術の限界を突破できる数少ない人間なんだ
「どうだい納得した?」
「はい?...もう十回説明していただけます?」
「いや多すぎか!」
日本語でおkですわ。
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